2025年を通して言えるのは経済や企業を取り巻く外部環境が不鮮明であり、内向き志向なのでほったらかしの長期投資より数か月単位の中期で経済や国際環境を見ながらの投資がよさそうです。トランプ氏が何か言えば突如音を立てて崩れるようなそんな相場付きではギャンブルのようなものです。このところ注目されなかったガスや石油、資源はそろそろな気がしますし、金が引き続き代替資産として選択されるでしょう。私は今年はオンス当たり3000㌦はあるとみています。ビットコインもありですが、これはまたの機会に述べましょう。

日鉄の失敗に思うこと

日本製鉄によるUSスチールの買収計画は不成功になるだろうと12月11日付のブログで書かせていただきました。その後、年末になり日鉄側がこれでもかとばかりに「10年保証」までオファーしましたがバイデン大統領が期限を待たずにNOの判断を下しました。かつてドイツのビスマルク首相が「国家は血なり、鉄なり」と述べ、日本では伊藤博文が官営八幡製鉄所の火入れ式で「鉄は国家なり」と述べています。そしてバイデン大統領は今回「USスチールは米国人が所有し、米国人が運営し、そして米国人の組合鉄鋼労働者による世界最高の誇り高き米国企業であり続ける」(日経)と発言しました。

バイデン大統領インスタグラムより

このバイデン氏の言葉には組合を必要以上におもんばかる気持ちが溢れています。その背景には共和党に全部取られた民主党として彼らのハートを掴んでおく必要があるからというのは明白です。一方、トランプ氏も当初から反対一辺倒。まさかUSスチールのティッカーが「X」だから応援しているとは思いませんが、たぶん基幹産業が外国企業に牛耳られることに「プライドが許さない」ということではないかと察しています。つまり2人の大統領は自由経済と市場原理を重視した良きアメリカを否定し、党利党略、「国利国策」(ひろの造語です)を推し進めたとも言えます。日鉄とUSスチールはアメリカ政府を相手に提訴するとしていますが、個人的には覆らないとみています。裁判官も大統領の顔を見るのです。