さらに、ジョンソン下院議長を含む共和党指導部が政府閉鎖を防ぐことを優先したため、トランプ次期大統領にとって好ましくない結果となった。トランプ次期大統領は、今回のつなぎ予算の結果をふまえてジョンソン下院議長を支持するかも明確には発言していない。
そんな状況でクリスマス休暇まで過ぎたわけだが、トランプ次期大統領は12月29日に「自分が就任する前に、債務上限停止を延長せよ」と議会に要請してきた。
これで明確にわかったのは、トランプ次期大統領は債務上限停止が就任1年目に訪れることに納得できていないし不満があるということだ。
1月20日までに債務上限の停止を延長することは、下院では民主党が票を入れない限り難しいだろう。なぜなら、共和党から30名弱が絶対反対するからだ。
共和党下院内では、この状況に不安を抱えている議員も少なからずいる。
また下院議長選挙が長引くかもしれないからだ。2023年の下院議長選挙では、共和党内に「Never Kevin」と呼ばれるマッカーシー元下院議長反対派がいたため、15回も投票を行い審議が数日遅れた※5)。
そのため、トランプ次期大統領にジョンソン下院議長を支持するよう呼びかけているが未だ声明はでていない。
118会期が最後に可決した「American Relief Act」今一度、タイムラインと法案を確認して整理した。トランプ次期政権チームは、法案のスリム化・民主党が求めていた予算の削減に対して勝利宣言を出していた。しかし、超党派で進めていた薬剤給付管理(PBM)の取り締まり強化やら、対中国への強硬策も除外されてしまった。
しかも、トランプ次期大統領の要求で「American Relief Act」から一部除外された条項が、別法案として上院は全会一致で12月20日に可決しているものもある。民主党が要求した予算が一部除外されたことは事実だが、トランプチームの大勝利と呼ぶには疑問が残ることになった。
つなぎ予算、American Relief Actをめぐるタイムライン