そして最後に\({i}\)ですが、これは虚数と呼ばれる数字です。

虚数とは2乗すると\({-1}\)になる数字を意味しています。ただ誰もが知る通りマイナスとマイナスを掛けると答えはプラスになってしまいます。

プラスとプラスを掛けても当然答えはプラスです。

2乗というのは同じ数字をニ回掛けるという意味ですから、普通に考えた場合なにをどうやっても2乗して\({-1}\)になる数字というのはありません。

ただ、計算上2乗して\({-1}\)になる数字は存在すると非常に便利だったため、数学のルールとして、2乗すると\({-1}\)になるという想像上の数字を人類は作り出したのです。

そのためこの数字は英語ではimaginary number(イマジナリーナンバー)と呼ばれます。つまり虚数\({i}\)は数学者にとってのイマジナリーフレンドみたいな数字です。

ここまでの話を聞いて、おそらくほとんどの人は、数式に含まれる記号がどういう値なのか説明されてもよくわからないと感じているでしょう。

しかしそこが重要な点です。

世界で最も美しい数式に含まれる数字たちは、この世界でまともな形で表現できないものばかりなのです。

私たちに馴染みのある\({0}\)\({9}\)の数字で表現できない不思議な数字。それは何を意味しているのでしょうか?

数式とは優れた詩

Credit:canva

変数だからという場合を除いても、多くの数式は本来数字を書くべき場所が記号で表現されていることが多くあります。

今回の主役となっている式にも、数字はほとんどなく記号ばかりです。

記号じゃ計算できないよ、と思う人もいるかもしれません。確かに学校の数学の授業は計算ばかりさせるため、数学とは計算するものだと思っている人が多いかもしれません。

しかし計算というのは数式の使い道の1つでしかなく、実際のところ数学は計算することが目的の学問ではありません。