4つ目の要因は「イベント感」です。
年末年始になると、SNSやテレビ、ネットなどで福袋の初売り情報が大々的に宣伝され始め、非日常的なイベント感が発生します。
買い手は各種メディアを通じた福袋の宣伝や特集に触発されて、「福袋を買う」という年始のイベントに参加したくなるのです。
ですから、この場合は福袋の中身が大事というよりも、福袋そのものを買うことに意義があります。
中には、年初めのゲン担ぎや運試しのような意味合いを込めて、福袋を買う方も多いでしょう。
このイベント感と密接に関係しますが、5つ目の要因は「他者との共有感」です。
世の中で流行しているイベントはやはり、一人で楽しむというよりも、友人や家族と分かち合うことで楽しさや特別感が倍増します。
特に、仲間内でどのブランドの福袋を買うかを事前に共有し、購入後に輪になって開封の儀を行って、「どれが当たった?」とか「これと交換してよ」といった楽しみ方は、お正月のイベント感を大いに盛り上げてくれるでしょう。
そして最後に6つ目の要因は「新しい好みが開けること」です。
中に何が入っているかわからないことは確かにリスクのある消費行動ですが、ここにおいては逆に、中身がわからないことこそが最大の強みとなります。
商品が見える状態であれば、私たちは当然ながら自分の好きなもの、趣味に合うもの、今必要なものを買うでしょう。
しかし福袋を購入すれば、必然的に普段では買わないようなものや趣味ではなかったものと出会いやすくなります。
すると「この路線も意外といいかも」とか「これは盲点だったな」といった新しい趣味や好みが切り開かれる可能性が高まるのです。
つまり、福袋の中には”予期せぬ出会い”が詰め込まれていると言えるでしょう。
こうした要因は明確にこれが欲しいという目的はないけれど、新年だしとりあえず何か買いたいという場合にも当てはまるでしょう。