(※)7月に町田ゼルビアへ期限付き移籍
[3-1-4-2]にも問題が
[3-1-4-2]で臨んだ試合でも、ビルドアップ時に3センターバックの立ち位置が横に開きすぎることで、パスコースが無くなる問題が発生。この典型例が、最終スコア1-2で敗れた第17節ガンバ大阪戦の1失点目(前半29分)の場面だ。
湘南GKソン・ボムグンがペナルティエリアでボールを保持したこの場面では、3センターバックの左右を務めたDF大野和成とMF鈴木雄斗が、タッチライン際へ開きすぎてしまっている。ゆえに自陣後方タッチライン際に立った右センターバックの鈴木雄斗が、G大阪のFWウェルトン(左サイドハーフ)に捕捉されてしまった。
これに加え、3センターバック中央を務めたMF鈴木淳之介と左センターバック大野の距離も開きすぎたため、ボールを失った直後の守備がしにくい状態に。GKソンの縦パスをG大阪MF鈴木徳真にカットされたうえ、同クラブFW山下諒也にラストパスを繰り出されると、これを受けたFW宇佐美貴史への鈴木淳之介の寄せが間に合わず。最終的には宇佐美に先制ゴールを奪われた。
ビルドアップの際、3センターバックの立ち位置が横に開きすぎる。もしくはウイングバックが自陣後方タッチライン際でボールを受けることで、相手チームの最前線からの守備(ハイプレス)の餌食となる。これらの問題は2023シーズンにも起きており、同年第19節の横浜F・マリノス戦における湘南の2失点目も、この日左ウイングバックを務めたMF中野嘉大(※)が先述の立ち位置でボールを受け、相手DF松原健のプレスを浴びたことで喫したものだった。
湘南は2023シーズンの第7節から第21節の15試合で5分け10敗と、1勝も挙げられず。そして2024シーズン開幕節から第11節までの計11試合でわずか1勝と、2年続けて極度の成績不振に陥っている。しかもこの原因が2シーズンともビルドアップ時の攻撃配置の悪さであり、これを踏まえると湘南は同じ過ちを繰り返したと論評せざるを得ない。戦術修正に要する時間や期間を、いかに短縮するか。湘南がJ1残留争いの常連から脱却し、上位進出を果たすために向き合うべきはまさにこの点だ。