また、仮に年次改定で非農業部門雇用者数100万人の下方修正があった場合でも、改定後乖離率は0.9%となり、過去平均値0.4%には届かない。177万人の下方修正があって、ようやく0.4%となる。さすがにこれはないだろうが、いずれにしても大幅な下方修正が予想される。

最後に、フィラデルフィア連銀が発表するデータを見る。こちらもQCEWを利用して得られる全米各州の雇用数を指標として確定するまで、四半期ごとに作成・改定を繰り返していくものである。

そのフィラデルフィア連銀と非農業部門雇用者数のデータを比べてみると、直近乖離が進み、今回の年次改定の基準月となる2024年3月において、86万人のずれがある。よって、フィラデルフィア連銀のモデルが正しければ、86万人の下方修正が行われる。

さらに、比較可能な最新の数字である2024年10月においては157万人もの差が生じている。2024年4月以降の数字も年次改定に合わせて下方修正され、非農業部門雇用者数が100万人以上減る月も出てくるだろう。

また、フィラデルフィア連銀のデータでは既に雇用者数が前月比マイナスを記録している月もある。

事実、フィラデルフィア連銀の最新データでは、2024年Q2(4-6月期)においては、非農業部門雇用者数が年率1.1%のプラス成長に対し、マイナス0.1%が予想されている。

以上から、現在の非農業部門雇用者数は過大に算出されていると考えるのが自然で、2025年2月に発表される米国雇用統計の年次改定では非農業部門雇用者数のそれ相応の下方修正があると見るのが妥当だ。仮に100万人を超える下方修正があっても驚きはない。大幅な下方修正に伴い、フィラデルフィア連銀のモデルが示す通り、非農業部門雇用者数の前月比がマイナスとなる月も出てくるだろう。

そして非農業部門雇用者数が前月比マイナスに転じていけば、過去の例からは景気後退となる。