現実の世界で1パーツしか持たない存在としては、クラゲが挙げられます。
クラゲは「ある意味で」全体が頭部であり、脳であり、体であり、口でもあります。
同様にスライムも、頭部だけで完結しています。
先の子供のセリフ「スライムもクラゲも頭しかない」という言葉は、生物学的にも極めて重大な特徴を言い表していたのです。
しかしスライムとクラゲの類似点はこれだけではありません。
上の図は動物の進化過程を描いた系統樹です。
1つは私たち人間の属する脊椎動物へ伸びる枝。
もう1つは虫などの節足動物やイカタコが属する軟体動物と延びる枝です。
系統樹において分岐の根元にいる生物は、地球上での出現が早く、古い種とされています。
たとえばクラゲの属する刺胞動物と海綿が属する海綿動物は、より根元のほうから分岐していることもあり、地球上での出現が早く、極めて古い種であると考えられています。
実際最新の科学でも、動物の最も最初の姿としてクラゲ派と海綿派が争いを行っている最中です。
(※現在はやや海綿派が有利となっています。)
またこの系統樹を見ると、上にいる動物のほうが複雑な体をもっており、下にいくほど単純な体を持っていることがわかります。
生物の外見は進化によって大きく変化しますが、先に述べた頭部・胸部・腹部といった大きな区分けは強く維持されることが知られています。
そのためドラクエ世界のスライムを現実の系統樹に当てはめようとした場合、上側の複雑な体のパーツを持つ生物たちに交じるのは難しいと言えるでしょう。
一方、系統樹の下側にあるクラゲは体が1パーツしかなく、海綿は動物でありながら主な内臓が腸しかなく、岩にくっついて腸に入ってくる微生物を消化しながら生きています。