■青い肌の原因

 このファゲイト一族の青い肌の謎に、これまで何人もの研究者が挑み、その原因が少しずつ解明されてきた。    血液学者であるマディソン・カウェイン氏やアヤレウ・テフェリー氏は、ファゲイト一族の青い肌の理由は、彼らが両親より代々受け継いできた欠陥遺伝子によって引き起こされる劣性疾患にあることを明らかにした。

 もう少し詳しく解説すると、ファゲイト一族の遺伝子には、「シトクロム-b5 メトヘモグロビン還元酵素」と呼ばれる酵素が欠けており、これが「メトヘモグロビン血症」という劣性疾患の原因となっていた。人間の血液中には、通常1%未満のメトヘモグロビンが存在しているが、この数値が異常を示す状態を、メトヘモグロビン血症と呼ぶ。

 もしメトヘモグロビンの値が20%以上を超えた場合には、人間は痙攣を起こして死に至ることもあるのだが、これが1%~10%の間である場合、血液が酸素化されずチョコレート色になってしまう。そしてこの血液の色こそ、皮膚が青くなることの原因なのだという。

 しかし、ほかの症状は一切引き起こされることなく、何ら健康への影響を受けることはないとされており、実際に、ファゲイト一族の大部分は長生きだった。

 ちなみに、現在メトヘモグロビン血症の患者を見ることはほとんどなく、あまりにも稀であるために通常の血液検査で調べられることはないらしい。

青い肌を持つ一族! 近親婚を繰り返したファゲイト一族とは?
(画像=イメージ画像 Created with DALL·E、『TOCANA』より 引用)