「厳しい国際情勢」にどう対応するか?と聞かれて、「グローバル・サウスとのきめ細かい連携」で対応する、と答えるいうのは、破綻した話ではないが、具体的には何も言っていないに等しい。あまりに抽象度が高くて破綻しようがないので破綻しないだけである。

そもそも「大変厳しい国際情勢」に立ち向かっていくのに、「欧米諸国以外の国々は全て、みんなまとめて『グローバル・サウス』と括ってしまうのが、日本外交の基本姿勢です」、という話に陥るというのは、納得感がわかない。どちらかというとかなり大雑把な言い方で、「きめ細かさ」を感じることができる概念構成ではない。

会談の数を繰り返すのは悪いことではないし、それによって見えてくるものもあるだろう。しかし数を重ねることが自己目的化してしまったら、そこからは何も生まれない。きめ細かいか否かが重要論点ではない。

石破内閣の岩屋外交は、果たしてこれからどうなるのか。先行き見通しの不透明感が残る。

「篠田英朗国際情勢分析チャンネル」(ニコニコチャンネルプラス)で、月2回の頻度で、国際情勢の分析を行っています。