いずれももっともな内容だが、「特色」と言えるようなものがあるかは、判然としない。皆と仲良くやっていきたい、ということはわかるが、日本が何を達成しようとしているのか、論理的な線は必ずしも見えてこない。

「3点の柱」は、どのように「法の支配」や「ウクライナを訪問」と関わっているのだろうか。よくわからない。端的な言い方をすれば、アメリカやその同盟国が、引き続きウクライナ支援に熱心なので、日本も歩調を合わせている、といったところだろう。それが「日米同盟の深化と抑止力・対処力の強化」にもつながり、(G7諸国などの)「同盟国・同志国との連携の強化」にもつながるはずだ、ということのようである。

それでは欧米諸国と歩調を合わせて何かをするということ以外には、何を目指すのか。「グローバル・サウスとのきめ細かい連携」をするらしい。果たして「きめ細かい連携」とは何か。記者会見での発言を、文字通りそのまままとめてしまうと、外相就任からの3カ月で、「既に対面での会談は50回を超え、電話会談は35回、実施」した、ということが、「きめ細かい連携」ということが指している事柄であるらしい。

だが、何かないのだろうか。会談の数を積み増すことが自己目的化しているのではないかという誤解を与えないようにするために、それらを通じて目指しているものはこれです、という何かはないのだろうか。よくわからない。

そもそも外相発言をまとめると、G7諸国以外は全てまとめて「グローバル・サウス」であるらしい。中国も「グローバル・サウス」となる。新年早々に訪問する予定のインドネシアは「グローバル・サウスの雄」と呼んでいる。

この「グローバル・サウス」という概念は、2023年広島サミットのあたりから、日本外交で頻繁に用いられるようになった。どうやら「流行っている」という認識があるようだが、私はすでに繰り返し批判的な文章を書いている。

なぜ批判的かというと、ただでさえ曖昧な要素が多い日本外交の姿勢が、一層曖昧模糊としたものになる要因になるからだ。ただでさえ非欧米諸国の世界に対する知識・経験・人脈・関心が不足気味の日本社会の傾向を、いっそう悪化させてしまうような気がしてならないからだ。