つづいて、中東・CIS諸国の代表的な国々の労働者1人あたりGDPについて推移を眺めてみましょう。
図2が中東・CIS諸国の労働者1人あたりGDPの推移です。
カタール、アラブ首長国連邦、オマーン、サウジアラビアなど、産油国で非常に特徴的な推移をしているのが良くわかりますね。
特にアラブ首長国連邦の変化が激しく、1991年の時点で20万ドル近くもの高水準だったのが20010年にかけて8万ドル近くにまで下落し、その後少しずつ上昇しています。
サウジアラビアやオマーンも同様に一時期よりも下落していて、カタールはアップダウンが激しい状況ですね。
一方で、トルコやイスラエルは順調に上昇している様子が見て取れます。
イスラエルは1991年の時点では日本とほぼ同じ水準でしたが、2023年には3割ほど上回るようです。
トルコは1991年の時点では4万ドルを下回り、日本よりもかなり低い水準でしたが、2019年に日本を超え、2023年には1割以上の差が開いています。
その他の国も基本的には上昇傾向ですが、イランは横ばい傾向が強く、レバノンは近年減少気味など、国によって傾向が異なるのが印象的ですね。
西欧・北欧諸国が足並みをそろえて一定範囲内で上昇していたのとは随分と異なります。
3. 労働時間あたりGDPの国際比較つづいて、もう1つの労働生産性の指標となる労働時間あたりGDPについての国際比較もしてみましょう。
図3が労働時間あたりGDP(実質 購買力平価換算値)の国際比較です。
労働者1人あたりGDPと比較すると、アメリカや日本との相対的な水準がやや低くなるようです。欧州諸国とは逆の傾向で、平均労働時間が長い事が推測されますね。