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  1. 労働者1人あたりGDPの国際比較

    前回は、東欧・南欧諸国の労働生産性(労働者1人あたりGDP、労働時間あたりGDP)についてご紹介しました。

    南欧諸国はイタリア、スペイン、ギリシャなど2000年代から停滞傾向の国が多い一方で、東欧諸国は上昇傾向が続き、近年では多くの国が日本を上回るようになっています。

    今回は、普段のOECDの統計データでは範囲外となる中東、CIS諸国の労働生産性についてご紹介します。

    CIS諸国は外務省の区分では欧州に分類されますが、地域的に近くJETROの統計調査で個別で区分される事と、欧州の国が多くなりすぎるため、今回は中東諸国と同じ区分として扱いました。

    CISの区分については、以下の外務省のサイトが参考になります。

    中央アジア・コーカサス等の地域機構・枠組

    まずは、各国の2023年の労働者1人あたりGDPから国際比較してみましょう。

    図1 労働者1人あたりGDP 実質 購買力平価換算値 中東・CIS 2023年 ILOSTATより

    図1が中東、CIS諸国の2023年の労働者1人あたりGDPの比較です。実質の購買力平価換算値となっています。

    カタール(13.2万ドル)を始めサウジアラビア(11.4万ドル)、アラブ首長国連邦(11.3万ドル)、バーレーン(9.3万ドル)など産油国の多くで非常に高い水準に達している事になります。

    これらの国々は、西欧諸国と匹敵する水準です。イスラエル(10.6万ドル)やトルコ(9.2万ドル)も日本を上回り、オマーン(7.2万ドル)も日本に近い水準となっています。

    一方で、ロシア(5.8万ドル)、イラン(5.3万ドル)、イラク(4.0万ドル)などはまだ日本との差も大きいようです。

    ウズベキスタン(2.3万ドル)、モルドバ(1.7万ドル)などのCIS諸国や、イエメン、シリアなどはかなり低い水準で、地域での差が大きい事も特徴的です。

  2. 労働者1人あたりGDPの推移