シリア国民の大多数はイスラム教スンニ派だが、それ以外にもイスラム教少数宗派やキリスト教など多数の宗教が存在する。シリアは半世紀以上、アサド父子による独裁政治が行われてきたが、アサド政権はイスラム教だが、その中でも少数宗派のアラウィー派が統治してきた。そのアサド政権は8日、崩壊し、アサド大統領は家族と共にモスクワに逃亡したことで、アサド政権は幕を閉じたが、アサド政権下の一部の残滓勢力がバシル暫定政権に反逆に出る動きを見せている。
外電によると、シリア北西部タルトゥス県の村で25日、アサド政権下の関係者やアラウィー派の住民たちが暫定政権の治安部隊と衝突し、双方で多数の死傷者がでた。中部ホムスでもアラウィー派による抗議デモが起きている。それに先立ち、シリア西部ハマー県の都市で23日、クリスマスツリーが焼かれる事件が発生した。目撃者によると、ダマスカスや他の都市で数百人がこの行為に抗議するデモを行っている。シリア人権監視団によると、デモ参加者はシリアの国家統一を訴え、シリアの少数宗派キリスト教徒の保護を求めている。
ちなみに、旧反体制派イスラム主義勢力「シャーム解放機構」(HTS)の指導者ジャウラニ氏はアサド失脚後、分裂した国の再統合を呼び掛け、「全ての民族、宗派は等しく公平に扱われるべきだ」と表明してきたが、バシル暫定政権は大きな試練に直面している。
そこでシリア情勢を理解するために同国の宗教事情をまとめてみた。 先述したように、シリアの大多数はスンニ派のイスラム教徒だ。世界のイスラム教徒の約85%はスンニ派に属する。スン二派は、カリフ(指導者)は共同体の合意と選挙によって選ばれるべきだと主張する一方、シーア派は、後継者は預言者ムハンマドの家族、特に義理の息子アリーによって継承されるべきだと考えている。