今回、全閣僚による会議が設置されたことで、ようやく政府を挙げての取り組む体制が整いました。来年の三月までには安全基準を再確認し、再生利用場所(道路の路盤材や廃棄物処理施設の被覆土壌などが候補になります)を選定し、実際に一定規模の再生利用を実現しなければなりません。
震災ガレキの広域処理と処理水の海洋放出の教訓一度除染作業で取り除かれた土壌を再利用することに対して、国民の中には懸念を抱く方々がいることを理解しています。政府としては丁寧な説明を続けるしかありません。しかし残念なのは、反対運動に賛同する政治家や有識者がいることです。思い起こすべきは、震災ガレキの広域処理や処理水の海洋放出で何が起きたかです。
東日本大震災の後、岩手や宮城のガレキについて、放射性物質で汚染されている可能性を指摘し、広域処理に反対したワイドショー番組がありました。安全性には全く問題がなかったにもかかわらず、彼らの報道に屈せず広域処理を進めた結果、三年で目標通り処理が完了しました。しかし、その後、彼らが報道を検証することはありませんでした。
処理水の海洋放出についても、政治家やジャーナリストの中に強硬に反対する人がいました。それを利用する形で中国やロシア政府が日本政府の対応を批判しましたが、現在では沈静化しています。震災ガレキの広域処理では環境省が孤軍奮闘し、世論の反発を買いましたが、処理水の海洋放出では政府全体で情報発信を行い、我々国会議員や一部の有識者も積極的に発信したことで、世論は賛成に傾きました。
今回の除染土壌の再生利用については、環境省だけでなく、官邸や資源エネルギー庁、復興庁なども連携し、政府全体で科学的根拠に基づいた情報発信を行う必要があります。
除染土壌の再生利用について、福島県民の声も重要です。処理水の件では福島県の漁業関係者から反対の声が上がりましたが、除染土壌の県外での再生利用に関しては、福島の復興を促進するものとして賛同が得られると考えています。