島根県出雲市をホームとする、なでしこリーグ2部のディオッサ出雲FCは、MFラウラ・スペナザットとFWフェヘ・タイスのブラジル人2選手が、12月31日を以て契約満了に伴い退団すると発表した。
この2選手は今年11月6日、堺陽二監督やコーチらからセクハラやパワハラを受けたり、通訳を付けてもらえなかったりしたなどとして、リーグや日本サッカー協会に対し処分(一定期間のクラブの活動停止や関係者の処罰)などを求め、日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)に告発文を送っていた。
事の経緯を詳細や、考えられる問題について検証する。
告発の内容とクラブの対応
代理人弁護士によると、2選手は2022年8月の入団当初から練習や試合の際、堺監督からポルトガル語で男性器などを意味する性的な暴言を投げかけられたり、コーチ2人からも「こいつら分かってんの?」と嘲笑され、舌打ちされるなど侮辱的な言動を受けたとされている。さらに、練習や試合に帯同する通訳を手配する契約だったにも関わらず、その義務が果たされることはなかった。通訳は週1回しか付かず、監督らの指示が理解できないなどの支障が出たと訴えていた。
2選手は7月に心療内科で診察を受け、急性ストレス反応(うつ状態)と診断され、チームを離脱して通院を余儀なくされた。診断書には「監督からの圧力による影響が大」と記されたという。
この2選手は、告発文を送った11月6日に会見を開き、その際は「女性選手が心理的虐待や精神的健康上の問題に直面しているのは憂慮すべき」「試合に出られないことでメンタルが悪化する」と語った上で、「(解決すれば)クラブに残りたい」と訴えたものの、その願いが叶うことはなかった。
2選手の告発会見を受けクラブ側も会見を開き、運営法人である特定非営利活動法人ディオッサスポーツクラブの渡部稔理事長が、選手からの訴えに対する調査状況を説明。クラブは堺監督とコーチに対し、その後全選手も含め、ヒアリングを行った。