その結果、ウエイトサイクリング未経験者と比較しても、ウエイトサイクリングの悪影響を否定する研究の方が多いことが分かりました。

具体的には、体重増加を否定したエビデンスが81%、除脂肪量低下を否定したエビデンスが100%、安静時代謝の低下を否定したエビデンスが72%を占めていました。

これらの結果をもとに、マグコス教授らは、「体重の増減を繰り返すことが体重、体組成、エネルギー消費に対して悪影響を及ぼさないという証拠が示されているため、過体重や肥満に悩む人々は、体重減少の努力を諦めるべきではありません」とまとめています。

したがって、ウエイトサイクリングを経験した人であっても、次のダイエットに不利になるという心配を過度に持つ必要はないでしょう。

では、体重や身体組成、代謝に悪影響がなかったとしても、病気のリスクなど、他の健康面についてはどうなのでしょうか?

ウエイトサイクリングが病気のリスクに与える影響については、色々な結果が出ていて、その種類によっても振る舞いが変わるようです。

例えば、ウエイトサイクリングが糖尿病の発症リスクに及ぼす影響を調べた2020年のメタ分析によると、25万人以上のデータをもとに分析した結果、ウエイトサイクリングの経験を持つ人は糖尿病のリスクが23%高いことが報告されています。

一方で、癌、特に膵臓がんや大腸がんのリスクについては、ウエイトサイクリングの悪影響を否定するエビデンスが存在しています。

このようなエビデンスを積み重ねた上で、今年発表されたレビューでは、ウエイトサイクリングを経験すると、脂肪組織が変化したり(腹部など身体の中心に脂肪が蓄積しやすくなる)、脂肪組織にマクロファージが浸潤し、炎症を引き起こす物質が増加したりすることが指摘されています。

ただし、これらのメカニズムを追求した研究の多くは動物実験に基づくものであり、現在のところ人間に対する確固たるエビデンスは不十分なようです。