■包丁のプロ、分析があまりにガチすぎる
今回の取材を快諾してくれたのは、フライパンや鍋などのキッチン用品を取り扱う「和平フレイズ」。まずは早速、包丁の「峰(背)」が かまぼこを外しやすい理由について尋ねてみる。
すると、和平フレイズの担当者は「かまぼこに弾力があるためです」と、回答。続けて「包丁の背を使うと、入り始めは少々加減が要りますが、一旦入ると板からはぎ取っていく形となります。背を使う事で、刃を使ったときのように斜めに入っていくことは少なく、かまぼこの弾力がはぎ取るのを手助けしてくれます」と、その原理を説明してくれた。
この「弾力」の存在が、包丁の峰との相性の悪さに繋がっているのだという。
こちらに関し、和平フレイズの担当者は「かまぼこは非常に弾力があるため、切れ目を入れるとその弾力ゆえに元に戻ろうと頑張ります。そうなると、刃を前後に動かしたり、斜めにして切りやすいようにしてしまいます。すると、この時点で包丁の刃先の位置が都度変わり、切れ目がギザギサになってしまうのです」と、分析する。
また、包丁の「刃」を使用すると板部分まで削ってしまいそう…という心理が働き、力加減を調整してしまう傾向があるのも、要因に挙げられるという。
さらに、和平フレイズの担当者は「最も失敗に繋がりやすい要素が、刃の角度です。包丁は背から刃に向けて傾斜がついているため、どうしても刃を入れれば入れるほど傾斜がきつくなり、強い弾力のため板からどんどん離れていこうとします。そのため、板に残るかまぼこが多くなってしまうのです」と、説明してくれたのだ。
取材の打診をした際、「回答できる範囲であれば…」と謙遜していた会社とは思えないほど、ガチ感あふれる回答に、驚きを通り越して感動すら覚えてしまった。さすがはキッチン用品のプロである…。
ちなみに、和平フレイズは説明を交えつつ、1本の かまぼこを「峰」と「刃」の両部位を使用して外してみせたが、やはり明らかに「刃」で外した箇所は かまぼこがごっそりと板に残っていた。
並べてみると、一目瞭然である。