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— Wonder of Science (@wonderofscience) March 2, 2023
こうした全体の見た目からテングモウミウシはよく羊に例えられ、特に海外では、英国アードマン・アニメーションズの大人気キャラクターである「ひつじのショーン」に似ていると言われています。
しかもラッキー(?)なことに、テングモウミウシは日本の海に生息しているので、サンゴ礁近くの浅い海でダイビングをすれば直接彼らに会えるかもしれません。
そもそもテングモウミウシは1993年に沖縄県の八重山諸島にある黒島沖で初めて発見された種であり、その後、フィリピン、インドネシア、シンガポール、タイでも報告されています。
このように、テングモウミウシは”海世界のひつじ”と呼ぶにふさわしい生き物ですが、彼らの体長は大人でも8ミリ前後しかなく、実際の羊に比べると全然大きくありません。
それでも彼らには羊にはないスーパー能力が秘められているのです。
葉緑体を盗んで「光合成」ができる!
テングモウミウシは主に藻類を食べて生きています。
彼らはただ藻類をむしゃむしゃ食べるだけでなく、藻類に含まれる「葉緑体」を吸収して自分のものにするのです。
藻類から葉緑体を盗んで自らの体の組織に保存できる能力を「クレプトプラスティ(Kleptoplasty、ギリシャ語で泥棒を意味する)」と呼びます。
テングモウミウシが盗んだ葉緑体は全身を覆うセラタの中に保存されます。
これが彼らのセラタが綺麗な緑色をしている理由です。
葉緑体によって得られた緑色は単純に、テングモウミウシを環境中に溶け込ませて、天敵から身を隠すのにも役立っています。