認知症の入居者、本来の「人となり」を知ることが大事

 利用者・入居者のなかには認知症を患っている方もおり、A氏もコミュニケーションの難しさを実感していたという。

「認知症の基本的な症状としては物忘れがありますが、徘徊や暴力などといった周辺症状を改善できるきっかけは、その利用者・入居者様が以前どんな生活をしていたかといったことから、知ることができる場合もあるんです。『この入居者様は暴力を振るう人』というふうに表面的なレッテルを貼って接してしまうと、そこから先、状況を改善させていくことはできなくなってしまうでしょう。

 本人も徘徊や暴力をやりたくてやっているわけではありませんから、『その人自身』と『認知症の症状』を一緒くたにせずに、切り分けて考えることが必要で、そのためにもその方がどのような人物なのかを深く知ることが大切なんです。たとえば、昔の写真を拝見してイメージしたり、ご家族からどんな生活を送ってきたかのお話を伺ったりして、本来の人となりを知れば、うまく接していく糸口が見えてくるのではないでしょうか。

 ただ、その人の『本来の姿』と『認知症の症状』をきちんと分断して考えられるぐらい、ある種の達観ができるようになったのは、私も介護職に就いて5年、10年経ってからだったと思います。ですから、まだ業界経験が浅い人には、いきなりは難しいかもしれませんね」(同)

(取材・文=逢ヶ瀬十吾/A4studio)

提供元・Business Journal

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