無駄遣いを防止できる贈与方法
そうとはいうものの、やはり無駄遣いをしてしまうのが心配という方は、贈与したお金で贈与を受けた人自身が生命保険に加入するという方法があります。このときの保険は個人年金保険と死亡保険があります。
個人年金保険とは、60歳や65歳など一定の年齢まで保険料という形でお金を積み立て、老後に積立金をもとに年金をもらうという仕組みの保険です。贈与を受けた人自身が保険契約者(保険料負担者)、被保険者となって保険契約をし、保険料の支払いは贈与を受けた口座から行います。このような保険を組むことで、無駄遣いできない形で財産を残すことができますし、名義預金となってしまう心配がありません。
ただし、この場合であっても、贈与を受けた人の通帳を贈与する人が預かってしまっては名義預金となってしまいますので注意してください。
贈与した人が亡くなった後は、保険料支払いのための贈与は止まりますので、その後は贈与を受けた人が自分で保険料を払い続けるか、解約するか、いずれかを選択することになります。解約した場合、または払い込み終了後に一時金として受け取る場合は、一時所得となり、払い込み終了後に年金として受け取る場合は雑所得となります。
死亡保険契約を選択した場合、贈与を受けた人を保険契約者(保険料負担者)とします。被保険者が死亡すれば贈与を受けた人へ死亡保険金が支払われます。一時金として受け取る場合は、一時所得となり、年金として受け取る場合は雑所得となります。
まとめ贈与をする場合は必ず上記のポイントを守るようにすることで、税務調査対策になりますし、生前に贈与をしておくことで相続財産を減らすことができるため、相続対策にもつながります。
子であれ孫であれ、この人に財産を渡したいと思うのはその相手を大切に思っているからに他なりません。Aさんのケースでは、分割協議にてお孫さんの父親であるAさんが預金を相続し、孫のために使うという形で落ち着きましたが、相手を思うその気持ちがしっかり伝わるように、贈与と認められる正しい方法で行いたいものです。
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古尾谷 裕昭 税理士 ベンチャーサポート相続税理士法人代表税理士 1975年生まれ、東京都浅草出身。2017年にベンチャーサポート相続税理士法人設立。相続専門の司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社・保険販売代理店・金融商品仲介業者からなるベンチャーサポートグループの中核を担う「ベンチャーサポート相続税理士法人」を代表税理士として率いている。約9.5万人のチャンネル登録者数のYouTube『相続専門税理士チャンネル』を運営。
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2022年12月2日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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