預金を贈与するときに押さえるべき4つのポイント
そして残念なことに、孫はこの預金を相続することができません。なぜなら、孫は祖父の相続人ではないからです(養子縁組をしている場合、代襲相続の場合を除く)。この孫名義の預金は、祖父の相続人の間で遺産分割協議の対象とされ、相続人の誰かが相続することになります。祖父の孫を思う気持ちは、孫に届かなくなってしまうのです。
では、贈与として認められるためには、どうすればよかったのでしょうか。預金を贈与する際の主なポイントは、以下の4つです。
預金を贈与するときのポイント
口座開設書類に名義人本人が記入して口座を開設する 名義人本人が通帳、印鑑、キャッシュカード等を管理する 印鑑は受贈者が持っているものにする 贈与契約書を作成する
贈与資金を送金する口座は、できることなら新たに作成するのではなく、贈与を受ける人が普段使いしている口座にした方がよいでしょう。普段使いの口座であれば、「贈与契約書を作成する」以外の上記のポイントを満たすことができますので、あとは贈与契約書を作成するだけです(110万円を超える贈与の場合は贈与税の申告も必要です)。
名義預金とみなされないように対策をすることは、相続税申告の観点からも大切です。通常、被相続人名義の預金でなければ相続財産には含まれず、相続税の計算対象となりませんが、実質的に預金の所有者が被相続人であるのに、名義が違うからといって相続財産に含めないと、本来の相続税額よりも少なくなってしまうことになります。
税務署は税務調査の際に、名義預金がないか、疑われる口座についてはキャッシュカードの暗証番号を名義人が知っているか、ネットバンキングに名義人がログインできるかなど詳細にチェックします。財産をあげたい相手へ意思通りに財産を贈与するためにも、税務調査対策のためにも、上記のポイントを守ることが大切です。