質問:投票日当日に○○事務所から「もう投票には行かれましたか」という電話があったけど、選挙違反じゃないの? 回答:投票日当日の投票率向上の呼びかけや啓発は、選挙管理委員会が行いますので、候補者等が行うことはありません。これを特定の候補者を支持している人等がすると選挙違反のおそれがあります。

同様の記述は四万十市、日南市、羽幌町、松戸市、三木市、羽曳野市、加古川市、下野市、等のHPで見られます。

棄権防止活動の電話が禁止されている投票日当日の選挙運動になる?

棄権防止活動と銘打っていても、単にその選挙区の投票率を向上させるに留まらず、特定の候補者にとって利益となることを狙って行っているのではないか?そのような行為は、禁止されている投票日当日の選挙運動に当たるのではないか?という疑問。

有権者の投票行動として「知名度」を重視する人は多く、知っている人を選ぶ傾向があるというのは普遍的でしょうから、「候補者本人が名乗ること」が重く見られるのは当然でしょう。

候補者側だと名乗らなければどう転ぶかは抽象的には分からないですが、一般的に、電話に出る層はこの選挙区なら自分に入れる確率が高い、他の候補者に入れるかもしれないけど数をこなせば自分の方が有利、という計算があり得ます。

仮にですが、「投票呼びかけの会の福山と申します」みたいな名乗りだった場合、どうなるのか。「福山」という苗字の者は全国に多数いるので「市長選に立候補している福山和人」であると電話対応者が想起するとは限らないため、単にそのように名乗るだけなら許されると考えるのかどうか。

似たような事案は2018年の新潟県知事選挙の時に検討したことがあります。

この際は候補者本人ではなく支援者による電話であり、SNSにもその活動が投稿されましたが、結局は当該投稿は後日削除されました。

X(旧Twitter)上での福山和人弁護士の投稿自体はアウト?

福山氏のX(旧Twitter)上での投稿は、アカウント上に氏名が書かれており、プロフィール欄には「2024京都市長候補」とあることから「名乗り」がされている状態ですから、この投稿自体がアウトでは?という疑問を持つ人も見られます。

確かにSNSだと有権者以外の不特定多数を含めたものになるという拡散性がある、他方で、特定の有権者に直接呼びかけてないので行為の”強度”としては数段下がる、という把握ができるとは思います。

選管や警察も、この投稿それ自体についても直ちにアウトとは言い切っていません。

首長候補者が選挙期間中に選挙の公平性への疑義を生じさせるな

仮に候補者本人が名乗りをした場合、それは特定候補者への投票を呼び掛ける行為とは直接は言えませんが、有権者の行動心理として「知ってる人」に投票する傾向があります。他の選対関係者による電話という代替手段がある中でわざわざ候補者本人が名乗り出て実施するというのは、その習性を利用した行為のように見えてしまいます。

投票日当日の特定候補者への投票の呼びかけが一般的に禁止されているという現行の規制を前提とすると、選挙の公平性を毀損する行為と言い得る。

そのため、気になってるのは以下の点です。