1. 2010年基準の成長率

    最後に2010年基準の計算結果です。

    図6 労働時間あたりGDP 名目 成長率 2010年基準OECD統計データより

    図6が2010年基準の名目値の倍率です。

    1990年基準だと日本だけ停滞気味でしたが、2010年基準とすると右肩上がりで上昇傾向が見て取れます。

    特に2012年からは一貫して上昇していますね。

    物価の下落が止まり上昇に転じたタイミングと同期していて、名目でも上昇し始めたことがわかります。

    図7 労働時間あたりGDP 実質 成長率 2010年基準OECD統計データより

    図7が2010年基準の実質値の倍率です。

    日本はドイツやカナダ、フランスと同じくらいの成長度合いで進んでいるようです。

    イギリスやイタリアなどよりも成長の度合いが高い事がわかりますね。

    日本の実質成長率は、主要先進国の中でも比較的高い水準であると言えそうです。

  2. 労働生産性の実質成長率の特徴

    今回は労働生産性(労働時間あたりGDP)の実質成長率について、基準年ごとの計算結果をご紹介いたしました。

    日本の労働生産性は名目では停滞傾向が続いていますが、実質では相対的に高い水準と言えそうです。

    ただし、成長率が高い事と、水準が高い事はイコールではありませんね。

    水準として他国に劣後しているのであれば成長率はもっと高くなければ追いつけませんし、他国よりも高い状態であれば成長率が低くても優位性を維持しているかもしれません。

    図8 労働時間あたりGDP 実質 購買力平価換算OECD統計データより

    図8のように、日本の労働生産性は成長度合いが他国並み(傾きが同程度)としても、水準としては他の主要先進国に大きく劣後している状況です。

    さらに、OECD等で公開されている実質値のデータは、実質化する基準年がより新しい年に更新されていきますので、結果的に名目値の影響を受けます。

    基準年の実質値=名目値となるためです。

    成長率の高低だけをもって、日本の生産性は高いとは言えません。

    ただし、今後の展開に希望が持てるのも事実ですね。

    次回は労働生産性の水準について着目してみたいと思います。

    皆さんはどのように考えますか??

    編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2024年2月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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