- 1970年基準の成長率
まずは労働時間あたりGDPの1970年を基準とした倍率を眺めてみましょう。
図2は労働時間あたりGDPの名目値について、1970年を基準(1.0)とした場合の倍率です。
日本(青)は2000年頃まではアメリカやドイツよりも高い成長でしたが、その後は緩やかとなり、ドイツやアメリカに抜かされています。
イタリアやイギリスは高い成長で、50年ほどの間にイギリスで40倍、イタリアで50倍となります。 フランスで20倍、アメリカ、カナダで15倍弱、ドイツで10倍、日本が8倍といった具合です。
図3が1970年基準の実質成長率です。
実質値の成長率で見ると日本が最も高く、50年ほどの間に3.5倍ほどに達します。
次いでフランス、ドイツ、イギリスで2.5~2.8倍ほどで、アメリカ、イタリアは2.2倍程度です。
イタリアは2000年ころから横ばい傾向となり、名目成長が物価上昇と釣り合うような成長度合という事になりますね。
実質成長率では1970年を基準にすると日本が最も高いというのは意外な結果だと思います。
- 1990年基準の成長率
続いて、同様に1990年を基準とした倍率を見てみましょう。
まずは名目値からです。
図4が1990年を基準とした名目値の倍率の比較です。
日本は2000年代から横ばい傾向が強くなりますが、他国は上昇傾向が続いています。
フランスで2.1倍、イタリア、ドイツで2.6倍、アメリカで3.2倍、イギリスで3.5倍ですね。
図5が1990年基準の実質値の倍率です。
イタリアが1.2倍で停滞が続いていますが、他の国は基本的に上昇傾向が続いています。
日本もアメリカ、イギリスに続いて高い成長という事になりますね。
1990年の水準に対して1.5倍強です。
アメリカで1.7倍、イギリス1.6倍弱、ドイツ1.5倍、フランス1.4倍と比べても遜色のない成長であることがわかります。
1970年基準の圧倒さはなくなりますが、主要先進国の中では相応の成長率が維持されていると見てもよさそうですね。
ビジネス
2025/01/01
労働生産性の成長率:基準年による大きな相違
『アゴラ 言論プラットフォーム』より
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