内馬場にはその間に整備された洪水調節池だけではなく、フルサイズのサッカー場が存在する。人工芝ながら、熱中症対策として最新鋭の「Viu(微雨)システム」を採用。特殊樹脂製ノズルにより、わずかな水を微雨化し立体的に散水するシステムで、熱くなったフィールドの表面の温度を効果的に下げることができるものだ。

現在「ひめたんスポーツクラブ(姫路競馬場スポーツセンター)」が運営し、サッカーやフットサルのみならず、卓球場やエクササイズが楽しめるスタジオもある総合スポーツクラブとして、広く市民に開放されている。

JリーグやJFLの公式戦を人工芝ピッチで開催されることは許可されていないが、地域リーグや育成年代では人工芝での公式戦が行われている。JリーグやJFLでも、人工芝での公式戦を解禁しようという議論も進んでいる。近い将来、「競馬場でのサッカー公式戦」などという試みもあるかも知れない。


チャンリミタン・スタジアム 写真:Getty Images

チャンリミタン・スタジアム(ブータン)

2002年6月30日。W杯日韓大会決勝が横浜国際総合競技場で行われ、ブラジル代表がFWロナウドの2発でドイツ代表を破り、5回目の優勝を飾った日。もう1つの世界一決定戦が同じアジアで開催されていた。当時FIFAランキング最下位のモントセラト代表(203位)と、ブータン代表(202位)の一戦である。ホームのブータン代表が4-0で勝利したこの試合は『The Other Final』として映画化されている。

この試合が行われたスタジアムが、ブータンの首都ティンプーにある国立競技場、チャンリミタン・スタジアムだ。事実上ブータン王室が所有し、25,000人の収容人数を誇る。

代表戦の他、2012年に発足したブータン・プレミアリーグのティンプー・シティとトランスポート・ユナイテッドがホームスタジアムとし、また、ブータン国王の戴冠式や建国記念日の式典などが行われる。加えて2024年、ブータン史上初となる海外アーティストの公演として、イギリスのシンガーソングライター、エド・シーランのライブも開催された。