ポエナ・クルレイで袋の中に動物が入れられた理由

蛇、犬、猿、鶏とともに“親殺し犯”を袋詰め…古代ローマの悪名高い刑罰「ポエナ・クルレイ」 とは?
(画像=画像は、「YouTube」より,『TOCANA』より 引用)

 ポエナ・クルレイで袋の中に動物が入れられた理由には諸説ある。動物が犯罪者の体を引き裂き、苦痛をもたらした可能性を指摘する説がある。一方、ローマ人が犯罪者を苦しめたかったのなら、より有害な動物を見つけられたと考えられる以上、動物は象徴的または儀式的な機能を有していた可能性があるとする説もある。

 蛇は伝統的に「悪魔」と見なされてきた。『創世記』では、蛇がイヴをそそのかして知恵の実を食べさせたとされる。また、蛇の中でも、ポエナ・クルレイに使われたマムシは、誕生時に親を殺すと信じられていた。他の動物についても、猿は人間の狂気を、鶏は獰猛さと親殺しを、犬は狂犬病をもたらす存在として災いをそれぞれ象徴していたという。一方、鶏と犬は「罪の化身」とされ、親殺しによる汚染を取り除く手段だった可能性も指摘される。

蛇、犬、猿、鶏とともに“親殺し犯”を袋詰め…古代ローマの悪名高い刑罰「ポエナ・クルレイ」 とは?
(画像=画像は、「YouTube」より,『TOCANA』より 引用)

 現在、世界中の国々のほとんどの法制度で、親殺しは通常の殺人と何ら変わらないと考えられているため、ポエナ・クルレイのような特殊な処刑法は存在しない。かつて日本の刑法にも、父母と同列以上にある血族(尊属)を殺害した者に量刑を加重する尊属殺の規定があった。しかし、同規定は1973年、最高裁判所によって憲法第14条(法の下の平等)に反して無効であるとして死文化され、1995年には刑法から削除された。

 親殺しに対する評価は時代や国によって異なる。その背景には家族制度、特に家父長制の変遷があったことも忘れてはならない。ポエナ・クルレイのような残酷な刑罰を視野に入れて歴史を紐解くと見えてくるものがあるだろう。

文=標葉実則

提供元・TOCANA

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