■次々と不思議な現象が!
ところが、それから奇妙な経験が始まった。外交官Aは、昔から寝つきの良い方だったが、入居したその夜から熟睡できなくなってしまったのだ。
「特に騒々しいとか、室内が暑いとかいう問題があるわけでもないのに、眠りが浅く、すぐに眼が覚めてしまうんです。最初は、新しい環境で緊張しているのかと考えましたが、何カ月経っても状況は変わらない。とはいえ、他に支障があるわけでもなかったので、そのまま我慢して住み続けていました」
そしてある夜のこと、やはり眠れずにいる彼は、ある体験をする。
「どこからともなく、石のテーブルの上にコインが落ちるような金属質の高い音が聞こえたんです。その音は一度きりで収まったのですが、しばらく経ったころ、今度は別の音が聞こえました。それは、何やら粘土のようなやわらかいものが落ちて、ひしゃげるような歪んだ音でした」
彼は不思議に思ったが、この音の原因を特定することはできなかったという。