近年、日本企業の新たな投資先としても注目を集めるミャンマー。国民の多くが仏教を信仰するこの国だが、現地に赴任したことのある外交官は、「実はオカルト現象が多い国でもあるんです」と語る。「特に、仏教伝来以前から『ナッ』と呼ばれる精霊の信仰があって、実際に私も……」という彼が明かした、世にも不思議な体験の一部始終を紹介しよう。

■ミャンマーへの赴任

 今回話を聞いた外交官Aが赴任した当時、ミャンマーはまだ世界の最貧国の一つで、新首都ネピドーにも電気や水道の行き渡っていない場所がほとんどだったという。

「在留日本人たちは、地元に何軒もない高級ホテルが経営する『サービス・ハウス』という施設に入居することが多かったんです。これは一種の集合住宅で、日本のマンションにも似ていますが、経営主体がホテルなので、掃除などのサービスはもちろん、水や電気もホテル側が責任をもって提供してくれる。治安上も問題が少なく、当時のミャンマーにしては比較的快適な生活が送れる施設だったはずなのですが……」

外交官Aは、前任者が住んでいた4階の部屋を引き継いで入居したらしい。