飲食店にはQSCAという指標がある。Quality(品質)、Service(サービス)、Cleanliness(清潔感)。最後の「A」がAtmosphere(雰囲気)、いわば店のムードである。
テーブルの横を通過する配膳ロボット。メニューの説明に混じる学生グループの喧噪。フレンチを楽しめる雰囲気とは言い難い。このコースはフレンチというよりも、ガストメニューのグレードアップ版、つまり従来の「高コスパ」商品の一つとして受け止められている。雰囲気づくりは一朝一夕にはいかないのだ。
ファミレス市場は緩やかな縮小傾向であり、専門店化も進んでいる。そんな中、現執行役員のいう「ハレ需要を楽しみたい客」を獲得できるか。創業者のいう「楽しい店」を構築できるか。我々が見ているのは、変容する時代を生き延びようともがく、古い業態の姿なのかもしれない。
【参考】 ・ガスト初カジュアルフレンチ『至福のフレンチコース』発売|株式会社すかいらーくホールディングス ・『外食はやっぱり楽しい 』フードビズ編集部 ・『ファミリーレストラン』今柊二/著 光文社