「1970年代くらいのファミレスが始まった頃は、ちょっとハレの日で、『よし、お父さんが飯を食いにすかいらーくに連れて行ってやるぞ』みたいに言って」
これがゼンショー流の成り上がり術だ ゼンショー・小川社長が語る経営哲学 | 東洋経済オンライン
ファミリーレストラン「ココス」を運営するゼンショーホールディングスの小川社長は、当時の状況をこのように語っている。
小川社長がココスを買収した2000年頃、すでにファミレスは、「ハレの日」に行くものではなく「ケの日(普段の日)」に行くもの、レストランではなくカジュアルな飲食店へと変貌していた。変貌を加速させたのが、ほかならぬガストだ。例えば、ドリンクバーやコールボタンの導入である。
ご記憶だろうか。ガスト出現以前のファミレスでは「コーヒーのお代わりはいかがですか」と従業員が回っていた。今や、客が自分で飲み物を取りに行くドリンクバーが当たり前となっているが、これを日本で最初に設置したのはガストである。
コールボタンも同様だ。当時は導入に否定的な意見が大半だった。「お客様が何を望んでいるのか、従業員が自ら気づくべき」という考えが根強かった。
だからこそ、
「お決まりの頃、伺いに参ります」
という言葉が多用されていたのである。
これを、ガストはコールボタン導入により、
(決まったら呼んでください)
に切り替えた。提供するサービスを、プッシュ型からプル型に切り替え、人の手間を大幅に減らしたのである。
結果、価格を380~580円に抑えることに成功し、ガストは「高コスパ」飲食店の代名詞となった。その後、配膳ロボットやセルフレジ・テーブル決済などを導入し、ますます人手を減らしていく。
QSCAとは今回のフレンチコースは、この流れに逆行するものだ。メニューの説明。食事の進み具合に応じた給仕。これら慣れない業務は従業員にとって大きな負担となる。接客は研修で対応できたとしても、再現できないものがある。雰囲気だ。