生涯の累計消費量は孫が祖父の2倍
しかしこれは税負担と受益だけの関係で、所得と消費は子や孫のほうが多い。たとえば1950年代生まれの人がテレビを初めて見たのは中学生になってからだし、そのころは自宅に電話もなかった。自家用車をもっている人もほとんどいなかった。
それに対して2010年生まれの孫は子供のころからテレビもスマホも使っている。消費する情報量は、この50年で1億倍以上になった。要するに成長の果実を享受できる分、孫のほうが豊かなのだ。
このような消費量を累計すると、次の図のように孫の世代の生涯消費の累計は祖父の世代のほぼ2倍である。
生涯の消費額(累計)
若者は900兆円以上の資産を相続するこの差は資産でみると、もっと大きい。日銀の資金循環統計によると、2021年度の金融資産残高は約2000兆円。負債を引いた純資産ベースでみても約1600兆円である。
金融資産の残高(日銀調べ)
これに対して政府債務は、純債務ベースで685兆円だから、家計純資産から政府純債務を引くと915兆円。若者はこれを相続するのだから、老人より豊かになる。
政府債務にはオフバランスの年金債務800兆円があるので、現役世代の可処分所得は減るが、これは高齢世代に対するゼロサムの所得移転なので、経済全体の資産は変わらない。