(1)まず「はじめに」と「おわりに」を読む 「はじめに」には、著者の問題意識、さらに本の構成も紹介されていることが多いです。ここでまず、この本で著者は何をどこで書こうとしているのかを把握しましょう。

次に「おわりに」を読みます。ここでは本の結論や、さらに学びを深めるための著者からのメッセージなどが書かれていることが多いです。

(2)目次を見て、気になるところの目星を”章単位”でつける 例えば、投資の本の場合、初心者が読むのであれば、そもそも投資とは何かという説明から、証券会社や投資商品の選び方といった部分が読むべきところでしょう。細かなテクニックなどは今の段階で読んでも意味がわからないので、バッサリと切ってしまいます。

一方、ある程度の投資経験がある人であれば、投資とは何かなどの説明は不要なので、資産を増やすための細かな商品知識について書かれた部分だけ読めば十分でしょう。

このように、「現在の自分にとっていらない部分は読まない」ことが、読書の質を高めるためには重要なのです。

そして、読んでみたい、あるいは読んでおいた方がよさそうな章や項目を選び出したら、いよいよ本を開いて、該当部分を”見て”いきます。

ここで、”見て”と言うのには、理由があります。丁寧に読むのは次のステップ3なので、その準備として、本当に読むべき内容があるのか、そして読むべきと思うなら、どのような観点で読めばいいのかなどをチェックしていくのが、ステップ2の目的だからです。

【ステップ3】「記者読み」:著者に質問するように読む

ここでは、ステップ2で選んだ箇所を読んでいくのですが、ポイントになるのは、「ふんふん、そうなのか」と素直に読むだけではなく、「本当にそうなのか?」「なぜそうだと言えるのか?」など、本を通して著者に質問をしているようなイメージで読んでいくということです。芸能人や政治家の会見では、記者がさまざまな質問をぶつけていますが、「記者読み」とは、あの場にいる記者の気分になって本を読むということです。

「なぜ?」と考えることによって、著者の意図を推測したり自分の考えを深めたりすることができます。また、より鮮明に記憶に残るというメリットもあります。

<本の理解を促進する3つの質問パターン>

(1)「前提は正しいのか?」 「投資がおすすめなのはなぜですか?」と著者に取材しているイメージです。そもそもなぜ、危険のない貯金ではなく、リスクのある投資をする必要があるのか。その背景にある著者の問題意識を、本を読みながら探っていきます。

(2)「その主張は正しいのか?」 著者の説に対して、「本当なのか?」と、一歩立ち止まって考えてみます。

「低金利であり、高齢社会が進む中、資産を増やすには投資が最適」という話ならば、確かにもっともでしょう。ただしここでは、投資が本当に自分にとってベストな方法なのか、あるいはもっと別の解決方法はないのかなど、著者と対話をしているイメージで本を読んでいきます。

(3)「著者の主張に根拠はあるか?」 一見もっともらしい話であっても、その主張が一定の事実に基づいていなければ、言い方は悪いですが、虚偽の情報ということもあり得ます。虚偽とまではいかなくても、著者の主張に何らかのバイアスがかかっている可能性もあるでしょう。本の中に、主張を裏づける事実はあるのか、よく読み解いてください。

【ステップ4】「要約読み」:3~5つに要約する

4ステップ読書法は、最後のステップ「要約読み」で総仕上げとなります。

要約読みとは、著者の主張や、自分の学びとなった部分を「要約」して、3つないし5つに集約することです。

この要約読みは、インプットの次の段階であるアウトプットを意識したものでもあります。ここでまとめる要約に、正解はありません。読む人それぞれに異なった要約でいいのです。本を読んで、自分が最も重要だと感じたところをまとめたものを、ここでは「要約」と呼んでいます。そして、この「要約読み」プロセスを通じて、学んだことを自分の中に定着させ、具体的なアウトプットにつなげていくのです。

具体的な方法としては、ステップ3の「記者読み」でしっかりと考えながら読み込んだ部分を、3〜5つに集約していくというやり方です。ただ、「どの項目も捨てがたいものが多くて、どのような方針で選んだらいいのかよくわからない」という場合もあるでしょう。 そのようなときには、次のことを意識してみてください。