- 公務・教育・保健の平均時給の推移
それでは公務・教育・保健の平均時給(労働時間あたり雇用者報酬)の推移について眺めてみましょう。
図2が公務・教育・保健の労働時間あたり雇用者報酬について、為替レートでドル換算した推移です。
日本(青)は1990年代にドイツやフランスを大きく上回る高い水準に達しますが、その後横ばい傾向が続き、近年ではOECD平均値を下回ります。
この分野ではイタリアもかなり高い水準に達しているのが特徴的ですね。
図3が公務・教育・保健の労働時間あたり雇用者報酬について、購買力平価でドル換算した推移です。
日本(青)は2000年頃まではドイツやフランスと同じくらいの水準でしたが、その後差が開いていき、近年では大きな差があります。
日本の場合、購買力平価換算値は自国通貨ベースで停滞していても右肩上がりで増えていくグラフとなるのですが、公務・教育・保健については自国通貨ベースで減少しているため、2008年以降横ばい傾向の推移となっています。
2008年頃にはイギリスに抜かれ、2013年ころからOECD平均値を下回っています。
これまでも様々な産業を見てきましたが、この公務・教育・保健はとても興味深い推移ですね。
成長著しい公共的産業で、パートタイムなど非正規労働者を増やしている状況が数値としても確認できます。
- 公務・教育・保健の平均時給の国際比較
最後に、公務・教育・保健の労働時間あたり雇用者報酬について国際比較してみましょう。
図4は公務・教育・保健の労働時間あたり雇用者報酬について、2021年の水準を比較したグラフです。
日本は30.7ドルで、OECD30か国中20位、G7中最下位で、OECDの平均値38.6ドルを大幅に下回ります。
労働時間あたり雇用者報酬 公務・教育・保健
購買力平価換算 2021年 単位:ドル 30か国中
1位 73.2 ルクセンブルク
4位 51.8 フランス
5位 50.8 イタリア
6位 50.8 アメリカ
8位 47.7 ドイツ
14位 38.6 イギリス
20位 30.7 日本
平均 38.6公務・教育・保健は産業の中でも平均的な対価の国が多いですが、イタリアは全産業平均値よりかなり高い水準に達していて、アメリカと同等であるのがとても印象的ですね。
北欧諸国はむしろ全産業平均値よりも、公務・教育・保健の水準の方が下回るというのも特徴的です。特にスウェーデンで顕著なようですね。
ビジネス
2024/12/26
公務・教育・保健の平均時給:公共的産業の対価
『アゴラ 言論プラットフォーム』より
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