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  1. 公務・教育・保健の平均時給

    前回は専門サービス業の平均時給(労働時間あたり雇用者報酬)についてご紹介しました。

    日本の専門サービス業は、国内で見れば平均的な対価と言えそうですが、国際的に見ればかなり低い水準のようです。

    他の先進国も概ね産業間では平均的な対価の産業と言えそうです。

    今回は、公共的な産業である公務・教育・保健の労働時間あたり雇用者報酬についてご紹介します。

    図1 労働時間あたり雇用者報酬 日本OECD統計データより

    図1は日本の産業別に見た労働時間あたり雇用者報酬の推移です。

    公務・教育・保健(緑)は、2000年代中頃までは情報通信業や金融保険業と共にかなり高い水準に達していましたが、その後は減少傾向となっていき、近年では工業や建設業と同じくらいの水準です。

    全産業平均値よりは高い水準を保ってはいますが、一時期よりも明らかに減少しているのはとても特徴的ですね。

    この分野は労働者数が大きく増加していて、さらにパートタイム雇用率が高まっている分野です。労働時間あたりで見ているので、本来はパートタイム雇用率が高まっていてもそれほど時給としては下がらないはずです。

    しかし、日本は一般労働者とパートタイム労働者で平均時給に大きな差があるため、パートタイム雇用率が高まるほど、全体の平均時給が下がるという状況となっていそうです。(参考記事: パートタイムの多い産業とは?)

  2. 公務・教育・保健とは何か?

    OECDで公務・教育・保健は3つの産業領域を総合した区分として扱っています。区分名としては、O~Q Public admin.; compulsory s.s.; education; human health と表記されます。

    ここでは、OECDの区分と、国際標準産業分類(ISIC REV4)における項目との対応をご紹介します。

    なお、日本語表記は下記サイトを参照しています。

    国際連合 Classification on economic statistics ISIC rev4 Jp

    表1 公務・教育・保健の産業区分

    OECD 産業区分
    ISIC REV4 大分類
    ISIC REV4 中分類
    O-Q 公務・教育・保健
    Public admin.; compulsory s.s.; education; human health
    O 公務及び国防、強制社会保障事業
    Public administration and defence; compulsory social
    84 公務及び国防、強制社会保障事業
    P 教育
    Education
    85 教育
    Q 保健衛生及び社会事業
    Human health and social work activities
    86 保健衛生事業
    87 居住ケアサービス業
    88 宿泊施設の無い社会事業

    公務及び国防、強制社会保障事業の中には、一般公務、外務、国防、公共の秩序及び安全に関する事業、強制社会保障事業などが含まれます。

    教育の中には、初等教育、中等教育、高等教育、教育支援サービスなどが含まれます。

    保健衛生事業の中には、病院事業、医療業及び歯科医療業等が含まれます。

    居住ケアサービス業の中には、居住介護施設、高齢者・障害者用居住ケアサービス業等が含まれます。

    公務・教育・保健は公務員の仕事ばかりではありませんが、公共的な産業と言えますね。