『ハリー・ポッター』シリーズをご覧になったことがあるなら、ハリーの相棒である白いシロフクロウ、ヘドウィグ(♀)を覚えているかもしれません。

その純白の羽は目を引き、人々に強い印象を残します。

中世のお城のようなホグワーツ魔法魔術学校の上を飛び回る白いフクロウの姿は、作品冒頭を代表するシーンの1つとも言えます。

白いフクロウが手紙を咥えて飛んでいるシーンだけで、テンションが上がってしまう人もいるでしょう。

ヘドウィグと同じような白いフクロウは現実世界にも存在します。

たとえばシロフクロウ(Bubo scandiacus)やメンフクロウ(Tyto alba)のようなフクロウは白い体を持つことが知られています。

しかし、よく考えると、これは奇妙です。

フクロウは夜の闇の中で、獲物に気づかれぬよう接近する狩りのスタイルをとるはずですが、白い体は夜に目立ち過ぎます。

にもかかわらず、なぜ夜に目出す白い体をしたフクロウが存在するのでしょうか?

この疑問は、長年にわたり素人だけでなく専門化たちをも悩ませてきました。

そこで今回スペイン国立研究評議会(CSIC)の研究者たちは、月明かりの下での捕食と被食の関係や、夜行性動物ならではの視覚特性を徹底的に分析しました。

研究内容の詳細は2024年12月16日に『PNAS』にて公開されています。

目次

  • 「白いフクロウ」は闇ではなく光に溶け込む
  • 「月光の特性」が白いフクロウを誕生させた

「白いフクロウ」は闇ではなく光に溶け込む

フクロウは、獲物に見つからないよう暗闇に身を沈め、ほとんど音も立てずに接近する特殊な狩猟能力を持っています。

このため、多くのフクロウ種は茶色や灰色、黒など、夜の景色に自然と紛れ込める暗い羽色を選び取り、確実に獲物に近づく戦略を発達させてきました。

一方でフクロウの中にはメンフクロウなど白い体をもつものが存在します。

メンフクロウたちも他のフクロウと同じように、夜間に活発に狩りを行います。