高い快適性と必要にして十分なパフォーマンス(走行インプレッション)
「523i Exclusive」で走り始めると「マイルド・ハイブリッド・テクノロジー」によってエンジンは始動せずにスルスルとスタートして速度が上昇していきます。
その走り始めからの静かさは圧倒的で、エンジン音が無いことから走行時のノイズ対策が入念に必要になる「i5」というBEV(Battery Electric Vehicle=バッテリー型電気自動車)モデルと車体を共有することから、「523i Exclusive」は走行時のロードノイズや風切り音、その他の共振等による騒音感が徹底的に排除されていて、BEVと車体を共有する恩恵がハイブリッド車で得られていると実感でき、速度がのってきてエンジンが始動する際も非常にスムースです。
アクセルを踏み込めば大排気量ハイパワー車のようにパワフルとはいきませんが、必要にして十分と思える加速と共にBMWらしい上質でビート感のあるエンジンの鼓動が遠くに聞こえ加速が続き、100km/h走行時のエンジン回転数は1500rpmほどで粛々と走るため高速巡行はとても快適です。
また「駆けぬける歓び」を実現するハンドリングと快適性の高い乗り心地を両立する「アダプティブ・サスペンション」による優れた足回りのバランスは絶妙で、「インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング(前後輪統合制御ステアリング・システム)」や、比較的軽量と言って良い大きさの直列4気筒エンジンをフロント・ミッドシップに搭載しているという重量配分等も相まって、速度域によらず走りは軽快で、適度にクイックに狙ったラインをトレースできるにも関わらず乗り心地もダンピングが適度に効いてあたりの柔らかいしっとりと落ち着いた走りを実現しています。
「インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング」はおよそ60km/h以上では前輪と同位相に後輪を操舵、およそ60km/h未満では前輪と逆位相に後輪を操舵するシステムで通常走行時には全く違和感が無くスムースですが、後退時には思ったよりも車体後部が内側に行く(巻き込む)感覚があるので慣れが必要で留意点と感じるものの、Eセグメントでも最大級のボディを持つ5シリーズにとっては、この機能によって前進時も後進時も回転半径が小さいという恩恵は留意点を補って余りあると言っても良いと考えられます。
今回の試乗で最も印象に残ったのは、ゆったりと走っている時の静粛性の高さと乗り心地の良さが感動レベルにあるところで、セグメントを超えて1クラス上の上質さとさえ感じました。
まとめ
自動車における世界的指標のひとつと言っても良い5シリーズの中から今回は「523i Exclusive」にフォーカスしてみましたが、その完成度の高さはやはり“さすが!”の一言で、特にBEVモデルとの車体共有によってボディ剛性やNV性能といった技術が向上したことによる恩恵を受けたと感じる静粛性の高さと乗り心地の良さが素晴らしく“良いクルマ”です。
BMWらしいハンドリングによる「駆けぬける歓び」はもちろん不変的で、決してハイパワーとは言えないものの必要にして十分で存在感が良い意味で薄い2.0L直列4気筒エンジンのフロント・ミッドシップ搭載による軽量さや重量配分の良さと、エンジンの鼓動をさらに打ち消すスムースでマナーの良い「マイルド・ハイブリッド・テクノロジー」の相乗効果によって、『とても強靭で優れた性能を持つ車体に乗っている』という感覚を助長してくれるので、静かに快適に移動する際のパフォーマンスの高さと乗り味は「駆けぬける歓び」を実現するハンドリングと相まって唯一無二の存在感を持っていると思います。
それらを両立して絶妙にバランスさせられる高い技術力は、長年の経験やノウハウによって培われたBMWの高い技術力によるものであることは疑いようもありません。
今後は車体をBEVとハイブリッド車で共有するのが一般的になりつつある自動車業界においては、その副次的効果やメリットをわかりやすく訴えかけてくれるBMWの「523i Exclusive」は伝統を受け継いだデザインと共に次世代に向けた最先端の存在であると思いますので、一度、その圧倒的に高い静粛性と快適性を味わってみることをおすすめします。
〔BMW 523i Exclusive 主要諸元〕
全長×全幅×全高=5060×1900×1515(mm)
ホイールベース=2995(mm)
エンジン=直列4気筒ガソリン・ターボ、総排気量=1998(cc)
最高出力※=140(kW)=190(PS)/ 5000(rpm)
最大トルク※=310(N・m)=31.6(kgf・m)/ 1500~4000(rpm)
※システムトータル(マイルド・ハイブリッド・システム)
電気モーター
最高出力=5(kW)=7(PS)/ 6000(rpm)
最大トルク=25(N・m)=2.5(kgf・m)/ 500(rpm)
トランスミッション=電子油圧制御式8速AT
駆動方式=FR(後輪駆動)
タイヤ、ホイール(フロント&リア)=245/45R19、8.5J×19
車両重量=1810(kg)※アダプティブ・サスペンションおよびパノラマ・ガラス・サンルーフ装備車=ベース+50(kg)
車両本体価格=¥7,980,000~
参考リンク)
BMW Japan公式サイト
https://www.bmw.co.jp/ja/index.html
BMW GROUP PRESSCLUB JAPAN
https://www.press.bmwgroup.com/japan/
新型BMW 5シリーズ誕生
https://www.press.bmwgroup.com/japan/article/detail/T0423698JA/%E6%96%B0%E5%9E%8Bbmw-5%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA%E8%AA%95%E7%94%9F
The new BMW 5 Series Sedan.
https://www.press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0416261EN/the-new-bmw-5-series-sedan?language=en
インテグレーテッド・アクティブ・ステアリング
https://www.bmw.com/ja/automotive-life/drivingpleasure10.html
文・橋爪一仁/提供元・CARSMEET WEB
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