BMWが誇る最新テクノロジー満載の2.0L 直列4気筒ガソリン・ターボ・エンジン

「EfficientDynamicsエンジン」と称される新世代のモジュール式高効率2.0L直列4気筒のBMWツインパワー・ターボ・ガソリン・エンジン「B48B20P」はフロント・ミッドシップに搭載され、高精度ターボ・システム&バルブ制御やツイン・インジェクションを用いたミラー・サイクル・エンジンにより進化していて、48Vマイルド・ハイブリッド・システムが組み合わされることによって、システムトータルでは最高出力190PS(140kW)、最大トルク31.6kgm(310Nm)のパフォーマンスを発揮して「アダプティブ・サスペンション」と「パノラマ・ガラス・サンルーフ」が装着された車両重量1810kgの車体をストレス無く走らせながら、WLTCモードで14.4km/Lという燃料消費率も両立しています。

後述の走行インプレッションでも触れていますが、エンジン自体のNV(Noise=騒音、Vibration=振動)性能、要するに静粛性がとても高い理由として、エンジンの音や振動がそもそも少ないことが大きく貢献していることが、エンジンフード裏の防音材が装着されていないところからも伺い知ることができ、エンジンの素性としてのバランス(具体的にはピストンやコンロッド、クランクシャフト等)や各部の剛性(特にエンジンブロック等)、エンジンマウントによる共振対策といったNV性能に影響のあるところが巧妙に設計されていることが、直列4気筒エンジン特有の往復2次振動によるうなりが抑えられて、低回転から高回転までの全域においてスムースで気持ちの良いフィール(音や振動)を実現しているところからも感じとることができます。

やはり、このあたりがエンジン屋たるBMWの“技術的なポテンシャル”の凄さで、それらを実現するには設計や製造などにおける多くの経験から様々なノウハウが詰め込まれている必要があるため、これが加速性能や最高速度といった数値的性能やスペックには表れない“BMWならではの魅力”だと思います。

つまり、「523i Exclusive」のエンジンはフィールに雑味が無く圧倒的に静かであるため、“良い意味で全く存在感の無い”ことこそがBMWの“技術的なポテンシャル”そのものであって、多くの自動車メーカーが手掛ける4気筒エンジンだからこそより際立って感じられます。

そして、これらの実現にはエンジンNVの課題である停止時のアイドリングや、スタート直後の極低速域においてエンジンを始動させずに駆動を受け持ってくれる「マイルド・ハイブリッド・テクノロジー」が非常にスムースで効果的に効いていることも大きく、エンジン自体の静粛性の高さも相まってシステムとしてエンジンも駆動を担っている時とモーターのみで駆動を担っている時の切替が意識をしなければ気づかないほどです。

BMWが5シリーズで実現した1クラス上の快適性能とは?【自動車業界の研究】
5シリーズ 直列4気筒エンジン搭載車 透視図(BMW)(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
BMWが5シリーズで実現した1クラス上の快適性能とは?【自動車業界の研究】
BMW 523i Exclusive エンジンルーム(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
BMWが5シリーズで実現した1クラス上の快適性能とは?【自動車業界の研究】
BMW 523i Exclusive「B48B20P」エンジン(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

駆けぬける歓びと快適性を両立する足回り

ハンドリングに定評のあるBMWの走りを実現させるサスペンションは、フロントにダブルウィッシュボーンとリアに5リンクの形式が採用されています。従来から大幅に改良が加えられており、理想的な音響特性を実現するためにフロントアクスルのステアリング・ギア・マウントのバネレートも最適化されています。

さらに「コンフォート・ドライビング・パッケージ」によって装着されるショックアブソーバーを電子制御する「アダプティブ・サスペンション」には、新しく開発された制御ロジックが用いられ、縦横方向の加速度や走行速度、ステアリング角度やフロントアクスルの状態などから数ミリ秒以内で計算が行われて必要なダンピングが得られるように制御され、車体のローリングやピッチング、ヨーイングといった姿勢の維持と同時に快適性を担保できるだけのしなやかさを両立させています。

そして、制御の要である走行時におけるそれぞれのシチュエーションでの理想的なダンピングは数学モデル(マッピング)に基づいたシーケンシャルな制御ではなく、運転条件に関するデータからの物理的な計算に基づいたフィードバック制御によって実現されているため、セミアクティブサスペンションと言っても良いかもしれません。

BMWが5シリーズで実現した1クラス上の快適性能とは?【自動車業界の研究】
5シリーズ エンジン搭載車シャシー 透視図(BMW)(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)