3. 異常気象の原因は太陽活動低下時の偏西風蛇行

気候変動の中心的課題は異常気象であり、CO2温暖化論者たちは、原発推進用にCO2の脅威を煽るように創られた気候モデルと600億円もした「地球シミュレータ」を用いて、「CO2温暖化による異常気象の恐怖」を国民に宣伝してきました。例えば、科学雑誌 『ニュートン』の2016年9月号24-53頁には、次のような温暖化警告記事が掲載され、カラフルな挿絵で異常気象の恐怖を煽っています。

Newton ホームページより

しかしながらチェコの気象学者Buchaによれば、次図に示すように、異常気象は太陽活動低下時に偏西風が蛇行して起きます。

出典:V. Bucha, Annales Geophysicae, Vol.6, 513-524 (1988)

次に示すSIDCの太陽黒点サイクルグラフによると、cycle20(1964-1976)とcycle24,25(2008-現在)で太陽活動が低下しています。

前述した真鍋の気候モデルを用いたfake scienceが流行する以前は、気象庁や気象研究所の気象学者たちは「太陽活動―気候変動」関係を研究していました。彼らの論文に学んだ著者は、次のように、日本の大雪に44年周期があることを発見しました。ちなみに、イタリアの降雨量にも11年、22年、44年周期が見つかっています。

2006(平成18年豪雪)
1963年(38豪雪)
1918(米騒動)
1877(西南戦争、鹿児島で25cm積雪)
1833(江戸で1m積雪)

それを参考に、著者は太陽活動の盛衰に基づく次のような気候区分を提唱しています。

グラフ出典:Zebro, J-L et al., Journal of Adavanced Research (2013),4, 265-274

1300〜1918年
小氷期
偏西風蛇行で異常気象多い
1919〜1962年
前期現代温暖期
気候安定期 海洋温暖化
1963〜1976年
一時的寒冷期
偏西風蛇行で異常気象多い
1977〜2005年
後期現代温暖期
気候安定期 海洋温暖化
2006〜現在
新寒冷期
偏西風蛇行で異常気象多い

俳句の季語辞典を編纂し、気象庁の桜開花予想を1951年に始めた大後美保(1910~2000)は、「氷河期が来る」と騒がれた1960~1980年に世界各地で異常気象が多発したことに基づき、太陽活動が低下した寒冷期に偏西風が蛇行して異常気象が起きることを「最近の世界の異常気象と農業」(1975)年で発表していますが、これは上記のBuchaの考えと一致します。

大後美保の文献には偏西風の挙動が次図のように示されていますが、「南北流」と記載された曲線が偏西風蛇行の程度を示しています。この図によれば、1918年以前の小氷期と1952年以降のcycle20に対応する期間で偏西風蛇行が起きています。

出典:「最近の世界の異常気象と農業」

上記の文献の中で大後美保は、「1963年の38豪雪が異常気象時代の幕明けだった」と指摘し、次表に示す世界各地で起きた異常気象について述べています。

1963年
38豪雪、欧州、米国でも大雪
1964年
北米東部大干ばつ、ユーゴ、イタリアで大洪水
1965年
インド大干ばつ、カナダ9月100年来の異常低温
1966年
インド、インドネシア大干ばつ、欧州冷夏
1967年
世界各地で大雨
1968年
高緯度地方低温、アイスランドとグリーンランドが氷で連結数10年来
1968年〜1969年
ブラジル大干ばつで凶作、1969年3月暴動
1969年
カリフォルニア大雨数100年来、地中海沿岸豪雨2000年来
1969年
アリゾナ砂漠豪雨6-8000年来
1971年
1月北半球寒波、3月北米欧州大寒波100年来
1972年
欧州冬春異常高温、ソ連インド中国東南アジア豪州干ばつ
1973年
低緯度地方大干ばつ、大雨
1973年
アフリカ干ばつ、欧州中東大雪、カナダ東部異常低温、ブラジル大雨250年来、バングラデッシュネパールフリピン大雨、米国中西部7月干ばつ、9月異常低温

大後美保が遭遇した太陽黒点cycle20による異常気象時代は「38豪雪」で始まりましたが、同様に太陽黒点cycle24,25による異常気象時代が「平成18年豪雪」を契機として始まりました。

IPCCが設立された1988年を含む1977-2005年の期間は、太陽活動が活発で気候が安定した温暖期でした。そのため、2000年の英Independent誌に「CO2温暖化で降雪は過去の遺物になったという記事が載りました。

ところが気象庁が暖冬を予想していた2006年冬(2005/12-2006/2)に大雪が降り「平成18年豪雪」と命名されました。それ以降、世界各地で大雪、熱波、干ばつ、洪水などの異常気象が偏西風蛇行が原因で次表に示すように起きています。気象庁は慌てて2009年に「異常気象分析検討会を立ち上げました。

2006年冬
日本「平成18年豪雪」、欧州で大寒波
2010年冬
米国・欧州で大雪
2010年夏
日露で熱波 パキスタン、インド、中国で洪水、ブラジルで大寒波
2012年夏
米国で熱波、中国、欧州で洪水
2013年夏
日本で熱波
2014年冬
日本、米国東部で大寒波
2014年夏
日本、米中西部、東南アジアで洪水、米加州で干ばつ
2015年冬
日本、米国東部で大雪
2016年
仏独で洪水
2017年冬
欧州・ロシア・中東で大雪
2017年夏
欧州・ロシア・米アリゾナ州で熱波
2018年冬
北米・欧州・中国・日本・中東で大寒波
2019年冬
米国北部と東部で大寒波
2019年月〜2020年2月
オーストラリア大森林火災、ブラックサマー
2021年冬
米国南部を襲ったテキサス大寒波
2021年夏
カリフォルニア州干ばつ、米国カナダ西部で熱波と森林火災、ドイツ・ベルギーで大洪水、イタリア、ギリシアで熱波
2022年1月
南オーストラリアで50.7℃記録
2022年夏
インド・欧州・米国で熱波、欧州・米国・中国で干ばつ、パキスタン洪水
2023年冬
日米で大雪、欧州は暖冬
2023年夏
カナダ・欧州森林火災、中国・米アリゾナ熱波、各地で洪水