社会的には容認されがたい
NHKはネット受信契約の解約でも地上波契約並みの厳格な運用を想定しているとみられるが、テレビ局関係者はいう。
「NHKを視聴できる端末を持っていないことを証明するということは、受信契約の際に使用していた端末を廃棄か機種変更したことを証明できるものを提出するか、もしくは緩い運用になるなら、インストールした専用アプリを削除したことをもって解約が認められるというかたちが考えられる。ただ、NHKは今回の説明会で、NHK受信契約は民間のサブスクのように加入したり退会したりを繰り返すような性格のものとは異なり、入ったりやめたりが簡単にできるというのは受信料制度と違ってしまうと言っているので、アプリを削除しただけで解約できるというかたちになる可能性は低いかもしれない。そもそも個別の端末からアプリを削除したかどうかをNHKに対して証明できるのかどうかも、よくわからない。
NHKは『受信料制度を棄損することがないよう』にするとも言っているが、ようは『NHK受信料は視聴の対価ではなく、NHKという組織を運営するためのものである』というNHKが従来から繰り返し主張している原則に則りますよ、ということだろう。すでに受信料収入は右肩下がりになっており、将来的に経営的に厳しくなることは必至のため、ネット受信料の最初の制度設計のところで安易な解約を防ごうとするのは当然だろう。
NHKの受信料は法律で定められた国民の義務的な意味合いもあるため、純粋な民間サービスとは違うというロジックは理解できるものの、サービス解約のハードルが高いということが消費者保護の観点から悪だとされている現在、NHKが検討している解約条件というのは、社会的には容認されがたいといわざるを得ないだろう」