超法規的な「突撃隊」が法治国家を破壊する
ところが3・11で彼らにチャンスが訪れた。原発事故後のドサクサにまぎれて発送電分離を実現する「電力システム改革法」が決まり、経産省は電事連に対するリベンジを図ったのだ。
特に2020年の菅義偉首相の「カーボンニュートラル」宣言のあと、河野氏と山田氏は再エネを最大限に増やして原発をつぶそうと画策した。
経産省の有識者会議には入れてもらえないので、4人でオブザーバーとして参加し、「提言」を連発した。その中身は露骨な利益誘導で、業界の失笑を買う幼稚な間違いだらけだった。
電力業界では再エネTFを「突撃隊」と揶揄する向きもあった。ヒトラーはナチスのテロ組織として反社会的な暴力組織を結成し、敵対する勢力を暴力的に排除した。突撃隊は法的根拠のない「私兵」であり、隊員には学歴も知性もなかったが、ヒトラーへの忠誠心は人一倍だった。
ギャンブルに負けた新電力の損失を補填した汚職議員東電の戸田直樹氏も提言の内容のひどさにあきれている。その一例が2021年1月の新電力損失補填事件である。これについては私も当時、「ギャンブルで負けた金を返せと要求する新電力」というコラムで論評した。
この冬は異常な寒波で電力使用率が上がり、LNGの価格が暴騰して日本卸電力取引所(JEPX)の卸電力価格が200円/kWhを超えた。これは通常の20倍を超え、卸電力を買う新電力の経営危機が表面化した。
これに対して経産省は卸電力料金の上限を200円に制限したが、それでも足りない新電力56社が大手電力に「想定外の利益を返還せよ」という要望書を経産省に提出した。このとき業者の要望を役所に持ち込んだのが、秋本真利を事務局長とする再エネ議連であり、その理論武装をしたのが再エネTFだった。