本稿では、神奈川県葉山町議会にあって薪ストーブ問題に関する部分の議事録を事実として記録し、主に葉山町長「山梨崇仁体制」下の町議会で過去、薪ストーブに関しどのような議論が有ったのかを抜粋し評してみたい。なお、敬称および職位名は略する。
「■」は各議事録である。
転載にあたっては筆者が葉山町議会事務局より使用許諾を得て該当部分を抜粋したものであり、無断転載を禁ずる。使用許可は神奈川県葉山町議会事務局に直接求めて頂きたい。
■平成31年2月26日予算特別委員会-02月26日-01号
◆ 委員(近藤昇一君):それで、今いろんな環境面、ダイレクトに、すいません、委員長、予算とかかわりがあるかどうかわかりませんけども、今、葉山の中で結構問題になってるのがまきストーブなんですよね。
実は、きょうもうちの留守番電話にね、入ってたみたいなんですけど、まだ電話してないんですけどね、多分そのことだと思うんですけども。広報でも何か若干啓発されたと言うんですけど。私はそんなに気にはならないんだけど、昔はみんなそうだったしね、風呂もうちはまきで燃やしてたし。と思うんですけども、今はそうではないみたいで、これ、なかなか難しいんじゃないかなと思うんですけども、環境課のほうにもそういう声は結構届きますか。
◎ 環境課長(坂本泰一君):おっしゃるとおり、かなり苦慮しているところではございます。まきストーブ、暖炉等に関して禁止しているわけではございませんので、ただ、一定の配慮をしてやっていただきたいという思いもあります。そういうこともありまして、ホームページですとか広報等で、どういうまきを使ってくださいとか周知はさせていただいています。
あと、建築の際に、そういうものの配置がわかった場合には、実際には建築事務所の方になりますけども、こういうことを注意するように施主のほうに伝えてくれというようなこともお願いするような形には、環境課のほうでは体制をとっている次第でございます。
◆ 委員(近藤昇一君):なかなか具体的にその、何ていうのかな、煙が出てくるその基準値とかさ、そういうのはないわけですよね。ないんでしょうね、規制するための。
◎ 環境課課長補佐(雨宮健治君):まきストーブの設置についてはですね、規制があるわけではないので、勝手につけられる、いつでも誰でもつけられちゃうということが現状だとは思います。最近はですね、環境課のほうに一応相談に来てくれる善良な業者さんなんかもいらっしゃるんですけれども、そういった方に対しては、すごくトラブルが多いですという話をすると、じゃあ施主にはやめるように説得しますということで帰ってもらったりするのが意外にあるんですよ。
先ほどのちょっとアセスの話にもなるんですけども、こういった、ちょっと周りのことを考えてですね、やるかやらないかを決めてもらえれば、我々のところにかかってくる電話が本当に減るとは思っているんですね。そういうちょっと周りに、例えばまきストーブをつくると、においだとか煙だとかでどこの範囲が迷惑がかかるんだろうとちょっと考えてもらえればですね、そこに対してちゃんとコミュニケーションをとってくれれば、そんなに問題にはならないのかなとは思ってます。
実は、私の家の前もまきでお風呂をたくんですけれども、うちとは一応コミュニケーションをちゃんととってるので、そんなにうちは気にならないんですけども、誰も知らない人がですね、そういった行為をするとですね、どうも感情的になるようなケースがすごく多いみたいなので、実際周りにちょっとずつ配慮をしてくれれば、そんなことはなくなるのではないのかなとは思っているところです。
ただ、まきストーブについてはですね、今現時点では、我々のところを何か許可をしなきゃいけないとかというわけではないので、つけようと思えばつけられちゃいますし、それを禁止するものもないというのが現状になってます。
◆ 委員(近藤昇一君):何かそういう規制しているような自治体はあるんですかね。聞いたことないですか。
◎ 環境課課長補佐(雨宮健治君):ちょっと聞いたことはないんですけれども、調べた範囲の中では、私はちょっと確認できなかったというのが現状です。
◆ 委員(近藤昇一君):ありがとうございます。すいません。
【筆者注釈】
この時、葉山町議会にて恐らく初めて、しかも共産党の古参かつ現職議員である近藤昇一より提起があったことの記録である。しかし近藤当人は「気にならない」と言い、これも世代的な感情であろう。
この議事録には、条例が無いために当時から「すごくトラブルが多い」と言い、町として対応に苦慮(坂本泰一)していることが記録されている。環境課はそれなりの体制を採っているというが、実効効果は未だに見られないことを付け加えておく。
中には「環境課のほうに一応相談に来てくれる善良な業者」や施主がおり、薪ストーブや暖炉の設置を断念するという例が有ったという。
逆に言えば、筆者の地域も当然に含め、現在近隣に迷惑公害状態になっている薪ストーブ家屋の施工者(工務店や造園業者)や施主は「善良ではない」「良識が無い」ということになる。
彼らにモラルを要求しても全く無理なのは自明の理であろう。
規制法が無いので薪ストーブ業者と使用者の「やりたい放題」が現在に至るまでの現状である。
コミュニケーション・感情面の問題でもあると雨宮健治は言うが、それは半分正解だが半分誤りであると指摘しておく。煤煙悪臭は「お互い様」ではなく一方的かつ防御不可能なものであり、公害を発する側にすべての責任が有り、対策の義務を負うべきである。また、発煙者側の態度に先ず問題が有る(法規制が無いと苦情を突っぱねる、謝罪の気持ちが皆無)事例が多いであろう。
雨宮健治は言う。
ちょっと周りのことを考えてですね、やるかやらないかを決めてもらえれば、我々のところにかかってくる電話が本当に減るとは思っているんですね。そういうちょっと周りに、例えばまきストーブをつくると、においだとか煙だとかでどこの範囲が迷惑がかかるんだろうとちょっと考えてもらえればですね、
まさにそこである。現在近隣に「煙たがられている薪ストーブ家屋や事業所」は、周りのことを全く考えていない結果であることを猛省する必要があろう。
猛省したら近隣住民全てに対し菓子折りでも持参し謝罪の上、煤煙除去対策(もちろん自費で)や使用停止をすべきである。迷惑かどうかは加害者が決めることではない。