忘れられた恐慌
この不況による絞めつけは、これから大いに話題となるでしょう。
1921年の「忘れられた恐慌」に関するジム・グラントによる素晴らしい2014年の本があります。
1921年が興味深いのは、アメリカ政府が実際に昔ながらの方法で不況を解決した最後の例だからです。グラントが言うように、“政府の薬に頼らない最後の不況”です。
1921年、ワシントンは実際に政府支出を削減し、金利を引き上げました。そのアイデアは、悪いリンゴ(不良投資)を素早く粛清する一方で、政府の支出を減らし、資源と人員を景気回復のために解放することでした。
そして、まさにその通りになりました。
過去140年間で最悪のデフレを含め、多くの尺度で大恐慌よりもひどい暴落の後、1年以内に米国経済は轟音を立てて復活しました。
今では「狂騒の20年代」と呼ばれる成長の10年が始まったのです。
2008年の危機とは対照的です。それは世界恐慌にはほど遠かったにもかかわらす、危機前の水準を取り戻すのに4年近くかかりました。
その後、ドナルド・トランプが最終的に減税を実施し、企業の生産を再開させるまで、ほぼ10年にわたり低成長が続いたのです。
もしトランプ大統領がいなければ、私たちも日本型の失われた数十年を見ていたかもしれません。
トランプが減税で中断させたため、「失われた30年」こそありませんでしたが、日本のゾンビ経済型の借金をアメリカは確かに手に入れました。
2008年以来、国の借金はわずか15年間で25兆ドルも増えました。この借金の利子は、今後数十年にわたって赤字を拡大させ、経済にまた新たな重荷を課すことになるでしょう。
結論私たちは目の前でスローモーションの暴落を見ることができます。雇用、倒産、実質的な世帯収入の2桁近い減少です。
そして、私たちはワシントンがどのように対応するかを正確に知っています。
財政赤字の拡大、歳出の増加、金利引き下げによって、貧弱な景気回復がもたらされ、ゾンビ経済が進行し、若者の将来性をつぶす日本のような社会への道を歩むことになるのです。
残念なことに、ワシントンの対応は若者だけでなく、すべての人を押しつぶすでしょう。なぜなら、アメリカには日本とは違って制御不能のインフレがあり、不況を煽る赤字と金利引き下げで悪化するだけだからです。
つまり、不況が訪れたとき、ワシントンは日本を凌駕し、ゾンビ経済で若者を押し潰し、さらにインフレですべての人びとを困窮させるでしょう。
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PETER ST ONGE氏の記事の紹介は以上となります。
「財政赤字の拡大、歳出の増加、金利引き下げによって、貧弱な景気回復がもたらされ、ゾンビ経済が進行し、若者の将来性をつぶす日本のような社会への道を歩むことになるのです。」
という文章は、なかなか衝撃的ですが、海外の有識者から日本経済がどのように見られているかを知ることは、とても重要だと思います。
「日本は他の国とは違う」などと思考停止せずに、謙虚に受け止めるべきです。
編集部より:この記事は自由主義研究所のnote 2024年5月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は自由主義研究所のnoteをご覧ください。