Our Coming Zombie Economy ゾンビ経済がやってくる
現在、悲痛な考えのひとつは、今の状況は悪いものですが、それでもまだ本格的な不況には突入していないというものです。そしてその最悪の不況が訪れたときには、ワシントン政府によるシナリオは、これから数十年にわたって日本型のようなゾンビ経済をもたらすかもしれません。
つまり雇用の減少、破産の急増、1千万円を越える人たちしか住めない家、朝食が贅沢品になるような食料品の価格にもかかわらず、私たちはまだのショーの本番を見ていないということです(※訳注:まだ本格的な不況という本番は訪れていないということ)。
景気後退のシナリオ不況が本格化したとき、何が起こるかははっきりしています。
というのも、現代の政府の不況の脚本は定石となっているからです。
それは、景気回復を可能な限り遅らせ弱体化させる一連の自殺的政策です。経済を流血に追い込みながら、数十年にわたる停滞をもたらす可能性があります。
標準的な不況のストーリーはこうです。
中央銀行の金利操作によって経済が破綻すると、失業率が数百万人に急増し、アメリカ中の食料品店が、慈善事業で配給される食べものを求める人たちで満員になります。
こうなると当然、耳をつんざくような声が上がります。「政府はこの痛みを和らげるために、何かをしなければならない。何でもしなければならない!」
皮肉屋なら、これは意図的なものだと思うかもしれません。
痛みを十分にひどくすれば、人々は政府に命令されることを懇願するでしょう。
その時点で、危機産業複合体は行動を開始します。
まずはスケープゴート化です。不況が突然やってきたかのように装うか、誰もそれを信じないのであれば、どんな見出しでもいいので、サプライチェーンのせいだとか、オンラインショッピングのやりすぎだとか、貪欲な食料品店だとか、古典的な “投機家 “のせいだと喧伝するのです。
残念なことに、このスケープゴート化は単なるお膳立てに過ぎません。というのも、貪欲な食料品店やその他もろもろから手を引いて経済を回復させる代わりに、政府はホワイトハウスのパーティーでコカイン中毒になるかのように「政府は何とかしろ」という声に突進するからです。
そして大恐慌以来、「何とかする」とは2つのことを意味してきました。
第一に、金利をできるだけ早く、できれば永久に引き下げること。 第二に、連邦政府支出を可能な限り拡大することです。
問題は、これらはどちらも経済の回復を妨げるということです。
実際、これらを十分に行えば、経済の回復を完全に止めてしまいます。
その理由を知るには、そもそもなぜ不況が起きているのかを考えてみれば良いでしょう。
金利が低すぎて、資金をあまりにも簡単に借りることができる状態が長く続き、「不良投資」と呼ばれるくだらないビジネスに資金を供給します。
FRBが金利を引き上げたとき、こうした不良債権は清算され始めます。そして、それらの不良債権がまとまって清算されることを不況と呼ぶのです。
その時点で、清算を加速させるのが正しいやり方です。
ゾンビのような悪質な投資案件を早くつぶし、新たな健全な企業のためにリソースを確保するのです。
つまり、FRBによるタダ同然の資金が、実際には景気回復の邪魔になるということです。FRBは悪徳投資家とその億万長者の創設者たちに命綱を投げ与えて、彼らに安い融資で何兆ドルもの資源を独占させ続けているのです。
その一方で、政府支出はさらに増え続け、何兆ドルもの資金に加えて、生産部門からさらに多くの資金を奪います。
例えば、人種差別主義者の高速道路を再建(※訳注:かつてアメリカの高速道路は黒人住居を破壊しつつ建設された)するために、工場の建設に使えたはずの建設労働者と鉄鋼を使うのです。
要するに、生産的経済は景気循環の犠牲になり、そして今は不景気の中で、資源を取り上げられて飢餓状態にあります。
ちなみに、これはまさに日本が30年来続けてきたことです。
日本は非常に大きい政府支出とゼロに近い金利によって、基本的に常に不況のシナリオを実行し続けてきました。
このため、長い間苦しんできた日本経済は、低迷に這いつくばってきた一方で、130兆円もの公的債務を積み上げるという、ゾンビ経済の30年間を送ることになりました。これはGDPのおよそ264%に相当し、アメリカ換算では62兆ドルに相当します。