「弥助」問題による新作ゲームタイトル『Assassin’s Creed Shadows(アサシン クリード シャドウズ)』の販売延期や新作『スター・ウォーズ 無法者たち』の販売不振などで、時価総額が半分にまで急落しているフランスのゲーム開発会社・Ubisoft。従業員らは10月15日からストライキを行う予定を表明し、中国の大手IT企業・テンセント・ホールディングスがUbisoftの買収を検討しているとも報じられるなど経営が揺れるなか、Ubisoftのマネタイズディレクターのスティービー・シャサード氏がLinkedIn(リンクトイン)上で、「まともな人間ではない」などの表現を使ってゲーマーやゲーム業界関係者への批判を展開。これにさまざまな声が寄せられている。
シャサード氏はリンクトインに投稿したコメントで、
「SNS上ではゲーマーたちがゲーム会社に苦境が訪れることを望んでおり、そのような人々がいることは悲しい」
「リンクトイン上には同様の声がゲーム業界の人間からもあがっているが、彼らは、まともな人間ではない。彼らの言動は、人々に素晴らしい体験を届けようと努力している何千人のも従業員に影響を与える」
と批判を展開し、議論を呼んでいる。
コンセプトアート内での画像無断使用の疑いも
アドベンチャーゲーム『アサシン クリード』は累計売上本数が1億5000万本以上に上るとされる世界的人気シリーズ。そんな同シリーズの新作『アサシン クリード シャドウズ』の11月15日の世界販売(日本を含む)に先がけ、5月に予告編が公開されたのだが、以下のような点が相次いで指摘され批判を呼んできた。
・過去のほとんどの同シリーズでは舞台となる国・地域の現地人を主人公としてきたが、今回は日本を舞台としているにもかかわらず主人公が歴史上実存した黒人(弥助)となっている(もう一人の主人公は日本人)。
・城の畳が正方形だったり、侍が甲冑姿で町中を歩いていたり、織田信長の横にその家臣が座っていたり、田植えをしているシーンに満開の桜や「豊作だな」といったセリフが出てきたりと、歴史的事実・慣習や日本の描き方に事実に即していない部分がある。
・主人公が日本人ではない点に疑問の声が広がるなか、メディアのインタビューで開発者が「日本人ではない私たちの目になれる人物を探していた」という発言を行い、差別的だとの指摘が広がり、説明なく当該箇所が記事内から削除された。
・日本語の吹き替えゲーム映像に中国語の字幕を使用。
・コンセプトアート内で画像を無断使用。
一連の事態を受けUbisoftは9月、販売を2025年2月14日に延期すると発表するに至った。