このような体制の中で対日外交、いや日本から見る対米外交をどうするか、簡単ではありません。ただ、政府だけが必ずしも、力を持っているわけではないことも事実です。時として民間ベースで話が展開し、それがきっかけで両国間の流れがよくなることもあります。

トランプ氏は石破氏に「理由なき若干の抵抗」を持っていることは事実でしょう。石破茂という人物について話には聞いているが十分に理解していない中で、今は優先順位が違うと考えている節があります。

ここからは私の推察です。

安倍昭恵氏と私邸でプライベートとはいえ、この忙しい時期にわざわざ会ったのはなぜなのでしょうか?たぶんですが、孫正義氏と翌16日にぶち上げ話で会談することも含め日本についてもう少し理解をすべく信頼しうる知己に話を聞きたかったという気がするのです。林官房長官が「コメントする立場にない」と明言していることからほぼプライベートでの会食だったと推測されます。ただ当然ながら「最近の政権はどうなのかね?」といった類の話は多少はあったと思われるし、昭恵夫人が日本を立てることをしないわけがない、よって日本とアメリカの連携関係を再確認したのではないかとみています。

トランプ氏邸宅で面会するトランプ夫妻と昭恵夫人 メラニア氏SNSより

今日、トランプ氏と並んだ孫氏が今後4年間で1000億ドル(15兆円)をアメリカに投資することに表明、それに喜び半ば冗談で「マサ、2000億ドル出せよ」との声に「やってみよう」と答えています。日米の強い相互関係をこのお2人が2日続けて作り上げたといってよいでしょう。

そんなこと言うと内閣や外務省は拗ねるでしょう。ただ、トランプ氏は1.0の時に経験したように普通のアプローチではだめなのです。安倍晋三氏がトランプ氏の懐に入れたのは当初は岸信介氏の武勇伝を耳にしたからかもしれません。ですが、会ってみて安倍氏の考える力、ブレイクスルーさせる実行力で絶対の信頼と同盟関係を作り上げたとも言えるのです。私はいくら政治家や公人と言えども最後は人間同士のつながりだと考えています。その魅力の見せ方に対して内閣が杓子定規なやり方でアプローチしてもそれはうまくいかないのです。