早急にインバウンドを取り込めるかがポイント

 では、この新業態は大きく成長する可能性はあると考えられるか。

「世の中に受け入れられて大きく成長するか否かと考えてみると、一筋縄ではいかない気がします。今の時代はとにかく『ターゲット顧客に刺さるか』『飽きさせないか』が重要です。『すきはな』のターゲット顧客は夕食に2000円以上出せる、ちょっとした国内アッパー層とインバウンド層になるでしょう。カウンターだけの店内は接待や大人数のグループ向きではなく、一人焼肉のような『おひとりさま』や2人組くらいを想定していると思います。ランチでは1000円の壁が壊れ、主戦場は1200円前後に移ってきていますし、『すきはな』は昼だけでなく夜も同じ料金設定です。夕飯ですと一人焼肉業態やファミレスでも1500~2000円くらいの支払いをする人が多くいますから、夕飯で2000円は高くて手が出ないとは言い切れませんが、一人での夕飯に日常でどれだけお金をかけるかと考えると、日々食べる夕飯としてはやはり高い気がしますし、利用者としては他にもお店や料理の選択肢があります。特にアッパー層の方はその選択肢がさらに広がります。

 オープンしたての時期は好奇心や話題性で盛り上がるでしょうが、想定顧客が国内アッパー層だけでは難しいかもしれません。しかし現在はインバウンドという強いターゲット層も存在します。こちらをメインターゲットとして考えた場合は、ブランド牛・国産牛を使った業態は現在ウケていますし、海外の人からすると円安の影響で自国で食べるよりは安いと感じるでしょうから、認知度が高まりインバウンドが押し寄せてくるようになれば流行る可能性は十分にありますし、観光客が集まる地域を中心にそこそこ成長できると思います。提供にアトラクション性を加えているのも、それらを喜ぶ海外のお客さんを意識しているでしょう。対国内客としてはちょっとしたアッパー層を狙いながら、早急にインバウンドを取り込めるかがポイントになるでしょう」