近年、災害発生への不安や警戒が高まっていることを受け、第一三共ヘルスケア株式会社が、「避難所生活の経験者」と「非経験者」を対象に、防災の意識や対策についての調査を実施。結果を公表しました。
防災意識について、経験者の7割、非経験者の約半数が「昨年と比べ、防災意識が高まった」と回答。一方、避難所経験者の4割以上が「衛生用品」「医薬品」を用意しておけばよかったと回答したほか、「身体に不調を感じた」と回答した方も6割を超えるなど、「非常時への正しい備え」に課題があることが明らかとなっています。
■ 経験者と非経験者で防災意識に大きな開き
年初から大規模自然災害が多く発生した2024年。前年と比べた災害に対する防災意識の変化について、「昨年と比べ、防災意識が高まった」と回答したのは避難所経験者の7割(70.0%)、非経験者の約半数(51.5%)。
一方、防災に関連した対策の有無については、「対策している」割合は避難所経験者が7割以上(73.9%)だったのに対し、非経験者で半数未満(44.0%)にとどまる結果に。約30ポイントもの差が開き、非経験者はいざという時の備えについて、まだまだ十分と言えない状況です。
実施している防災対策については、両者ともに「備蓄品(食料・飲料)」「非常用持ち出しバッグ」 「備蓄品(医薬品や衛生用品)」の順に、回答が多い結果となりましたが、非経験者は「医薬品や衛生 用品の備蓄」は27.6%と低い結果。備えに関する意識の偏りが見られました。
■ 「衛生用品」「医薬品」について約2割が「避難所にあると想定」
避難所生活で身体に不調を感じた経験者に「用意しておけばよかったもの」を聞くと、半数以上(52.0%)が「衛生用品(ウエットティッシュ、手指消毒液など)」と回答し、次に「医薬品」(43.0%)が続く結果となりました。
これは、防災対策の備えとして、避難所生活で不調になった際を見越した備えが不十分であったとみられます。
また、非経験者に「避難所にあると想定しているもの」を聞くと、「飲料」(52.5%)「食料品」(52.2%)と回答した方が多くみられた一方で、「衛生用品(ウエットティッシュ、手指消毒液など)」「医薬品」は約2割という結果。
「備蓄品の準備で困っていること」についても、「準備する量」と回答した方が経験者、非経験者ともに3割を超えていることから、衛生用品や医薬品の備えが必要と感じていながらも、避難所で生活する日数の予測が難しく、備蓄品をどのくらいの量準備すればよいかわからない方も多くいるということがわかりました。
■ 避難所生活での不調について、6割以上が「身体に不調を感じた」
避難所生活での不調について聞くと、65.8%が「身体に不調を感じた(とても感じた+やや感じた)」と回答。
具体的な不調については「腰痛・肩こり」(68.6%)が最も多く、「頭痛」(37.7%)、「胃痛」(32.9%)となっており、日常と異なる状況で不調を感じる人が多いことがうかがえます。
■ 「非常時への正しい備え」について専門家がアドバイス 避難所生活は「自助努力」が基本
こうした調査結果を踏まえ、東京大学医学部附属病院薬剤部、日本DMAT隊員、東京都災害薬事コーディネーターの高山和郎さんが、「非常時への正しい備え」についてアドバイス。
災害時には最低でも3日分の食料、水、医薬品を備蓄しておくことが基本といわれていますが、状況により、一概に必要量を定めることは難しいと言えます。そこで、地域のハザードマップなども確認し、「各家庭で必要量を想定し、備える量を考えること」が重要とのこと。
また、医薬品の準備については、避難所には薬があるとは限らず、あったとしても種類も数量も限られているため、常用している処方箋薬はもちろんのこと、日常的に使用している市販薬も備えとして用意することが大切とし、非常時への備えに限らず、少なくとも1年に一度は見直す習慣をつけましょうと助言しました。
また、処方箋薬においては、災害時にかかりつけの医療機関の受診や薬局での薬の受け取りなどができず、いつもと異なる薬のもらい方となる可能性もあるため、診療の記録や「おくすり手帳」も必ず常備して持ち歩くことも勧めています。
災害時の避難所の環境、運営については、これまでの経験に沿ってサポート体制が強化されているものの「自助努力」が基本。飲料や食料品のほか、衛生用品や医薬品についても、まずは自身と家族の安全や健康を確保できる量の備えを用意しておき、そのうえで地域や行政のサポートを活用するという認識でいるのが良いでしょう。
情報提供:第一三共ヘルスケア株式会社
提供元・おたくま経済新聞
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