現代ビジネス(2020.10.23)4頁より 強調は引用者

思想としては同じ立場でも「事実と違うことを書いちゃダメ」と、釘を刺したわけです。NYTはこの後、居直ったかと思いきや「やっぱり盛りすぎた」と判明した内容をこっそり削除するなど、迷走を極めてゆきます。

当時は第1次トランプ政権の後半でしたが、旧来型の愛国史観を強調するトランプがこの問題を採り上げ、NYTをこき下ろすのは2020年9月。敵よりも先に「ちょっとこれはまずいですよ」とたしなめる有能な味方の役割を、アメリカの歴史学者たちはきちんと果たしたわけですね。

対して「ニッポンのレキシガクシャとか(笑)」な話は、末尾に参考記事を挙げますが、大事なのは、2020年の時点では再選を阻まれたトランプが、24年には圧勝で復活したことの意味です。

ある政治的な立場からすると、「こうであってほしい」「こうであるべき」として見えてくる、過去のイメージがある。しかしそれが歴史の現実と異なっていた場合、歴史の側が「なめんなよ」と殴り返してくる。勝ち残るのは現実の方である。

②の池田著が扱うロシアとなると、よりそれは深刻です。西側としては、ロシアも自由民主主義に「なってほしい」、戦争もやめてほしい、と思うわけですが、そんなことは起きない。なのでウクライナ戦争の展開も、センモンカが「こうあるべき」だと、脳内で思ったようにはまったくならない。