(※つまり光速なら質量ゼロ、止まれば質量有り、という単純な対比で理解できるのです。)
今回の研究により、結晶内部という特殊な舞台で、電子は「質量を失い」そして「質量を帯び直す」――まるで相対性理論の一幕を模倣したかのような不思議なふるまいを見せることが明らかにされました。
理論が唱えられて以来、誰も実証できなかったセミディラックフェルミオンの姿が、ようやく現実の物質中で確認さのは大きな前進です。
研究者たちは、この発見がすぐに実用化へ直結するとは限らないとしていますが、全く新しい概念にもとづくバッテリーやセンサーの開発の基礎になり得ると述べています。
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参考文献
Particle that only has mass when moving in one direction observed for first time
https://www.psu.edu/news/research/story/particle-only-has-mass-when-moving-one-direction-observed-first-time
元論文
Semi-Dirac Fermions in a Topological Metal
https://doi.org/10.1103/PhysRevX.14.041057?_gl=1*1dwb3ya*_gcl_au*MTQ1MjgyNDczMS4xNzMyNjY0MTEx*_ga*NDc0MDg5NTkwLjE3MjAzOTI3NTM.*_ga_ZS5V2B2DR1*MTczNDA3ODk1NC40NC4wLjE3MzQwNzg5NTQuNjAuMC43MTEwMTc5NTg.
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。