一方、賃貸住宅もついに賃料が上昇を開始しています。日本の賃貸住宅の賃料は「世界の常識、日本の非常識」の典型で賃料が上がらない、上げにくいという問題を抱えています。私が東京で運営するシェアハウスでも退去者が出ると次の新規募集はほぼ値上げをするので回転している限りは賃料が刷新されます。しかし、例えばコロナ時期で空き室があった時代に入居された方には当時キャンペーン価格で提供したのでかなりお安い状態。ではその方に「値上げのお願い」をすればいいじゃないか、と思われるでしょうが、若い方が地方から出てきて頑張っているのだから、と思うとつい情が入ってしまうのです。
が、そんな賃貸住宅も今や年1%程度の値上がりとなっているようです。これは数字だけ見れば大したことなさそうですが、実際には2-3%上昇しているところが引っ張っているわけです。月10万円の賃料なら毎年2-3千円値上がりするということです。これでは「賃貸は安泰」とも言っていられなくなります。
そこで私のご提案です。「二世代住宅」はご存じだと思います。親と子が一つ屋根のもとに住む、だけど、玄関は別なので一応、プライバシーはあり、スープが冷めない近さの上に親が介護などとなればより便利であります。ではこの発想を発展させて「二所帯住宅」を作ればどうか、と思うのです。
私がシェアハウスやアパートを東京で経営していて思うのは壁を隔てたプライバシーさえあればお隣が誰でもさほど気にならないのです。ならば戸建てをAさんとBさんが共同で購入するという発想ができるのではないかと思います。都内の戸建てなら7-8千万円程度。これを2人で割れば4千万円を切る価格になります。
ではこれをどうやって所有し売買の自由度を保つか、です。まず建物の所有を信託扱いにして2人の部分所有と権利を明白にします。土地は区分所有でしょうね。将来、片方の方が売りたければ信託上の権利を売買することになります。更に一つ屋根の建物ですから共益費が必要でこれを信託口座に預け、必要に応じて引き出して修理することになります。その場合、双方で話し合ってらちが明かない時があるはずなのでそこは専門家が介入できる仕組みを作っておいたらよいでしょう。固定資産税は専有面積に応じて案分負担します。もしも片方が未払いを起こした場合、即座に建物に抵当権(先取特権)(但し第三者対抗要件としての登記というより信託書面上、未払いとし、抵当権設定留保でよいと思います。)で双方の債権債務を明白にします。未払いが積みあがれば強制売買で退去させられる強制権が付保されることが大事です。